外国人義勇兵はどうやってロシア軍に入隊するのか。ロシア軍の特殊部隊「アフマット」に現在も所属している金子大作さんは「私が最初に所属したピャトナシュカ旅団では、到着初日から予告なく雑用が続き、寝る間もなかった。それが実力を測る『入軍テスト』だと分かったのは4日目の抜き打ちの射撃訓練だった」という――。(第5回)

※本稿は、金子大作『ロシア軍の日本人兵士 最強の特殊部隊「アフマット」で見た地獄』(講談社)の一部を再編集したものです。

兵士
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“時速150km”でドネツクを爆走

「あなたがダイサク・カネコか?」

国境まで一人で出迎えに来てくれた司令官はそう尋ね、駐車していた自動車に乗るよう僕を促した。乗り込んだのは軍用車ではなく、真っ黒の「メルセデスAMG」だった。ベンツ社が誇るスーパーカーは轟音を響かせながら走り出した。

「タバコは吸う? 自由に吸っていいから楽にしなよ」

司令官はウクライナ東部ドネツク州の街中を時速150kmの猛スピードでかっ飛ばす。タバコをふかすと、灰が飛び散り、車内で粉雪のように舞った。道路はところどころ舗装が剥がれてデコボコしていた。しかし、どんなに悪路でも司令官はスピードを緩めない。

後に知ることになるが、軍隊の車両は緊急車両と同じ扱いだ。どれだけスピードを出しても違反で捕まることはない。目的地であるドネツク州の都市・マキイフカの基地には、およそ2時間で到着した。

末端の兵士に全容は知らされていないが、SVOの主力となっているロシア国防省陸軍には30万人前後の兵士が所属しているとされる。陸軍には複数の師団があり、師団は大隊と中隊で構成。師団の規模にもよるが、中隊には突撃部隊(100〜300人)、砲撃部隊(50人程度)、ドローン部隊(50人程度)、狙撃部隊(ごく少数)などがあり、それぞれに司令官がいる。

「旅団」は師団よりも少し規模が小さいが、やはり大隊と中隊で構成。ピャトナシュカ旅団もその一つだ。