原油輸入量を半分に削減できた理由
「中国は、イラン戦争が引き起こした石油危機を巧みに乗り切った」とウォール・ストリート・ジャーナル(以下、WSJ)が8月24日の記事で報じている。
同紙は、世界最大の原油輸入国である中国が、輸入を約5割も削減しながらインフレを抑え込み、世界経済の安定に貢献したと評価した。
燃料の輸出規制で製油所の稼働を落とし、値上がりを嫌った旅行者が飛行機を控え、石炭への転換が奏功し、戦争前に積み上げた備蓄を取り崩した。これらを、「中国当局のしたたかな対応策」として紹介している。
だが、この記事には最も肝心なことが書かれていない。それは「中国経済が深刻な需要不足に沈んでいて、燃料需要が急速に落ちている」ということだ。
海外メディアの対照的な中国像
輸入を半分に減らせた中には、「巧みに工夫した」分があったのは確かだろう。でも、「工夫」で「半減させる」のはさすがに現実的ではない。
2024年の中国における石油系燃料需要は日量約810万バレルと、2021年を2.5%下回り、2019年との比較でもほぼ横ばいにとどまった。エネルギー消費に占める割合は石炭が50%以上を占め、石油は約18%であるとはいえ、2026年現在の中国経済は、燃料を半分に減らしてもさほど困らないほど、需要不足に陥っていると考えるべきだろう。
※IEA「Oil demand for fuels in China has reached a plateau」(2025年3月11日)
実際、ブルームバーグは「イラン戦争は、中国の石油需要がどれほど失われ、そして二度と戻らないかもしれないかを、白日の下にさらした」と指摘している。
WSJが「燃料不足を巧みに乗り切った大国」と描く一方で、ブルームバーグが「燃料不足が、さらに需要を落ち込ませた」と静かに崩れていく需要のリアルを描き、その像はかなり対照的だ。
では、WSJとブルームバークの2つの見方のうち、どちらが現実に即しているのだろうか。

