熟睡するための条件は何か。医師の桐村里紗さんは「私は20代から東京で働いており、長年、自分は難治の不眠症だと思って生きてきたが、鳥取に移住すると苦労せずに熟睡することができた。その背景には意外な原因があった」という――。
※本稿は、桐村里紗『土に触れる人はなぜ健康になるのか 身体の中の自然を育てる』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
現代人は自然との一体感を得ることが急務
本書では、人類と自然との関係性が、いかに人の心身のウェルビーイングに影響するかということを、科学的知見や、私自身の経験を踏まえながらひもといていきます。
自然との関わりは、「山が好きな人」「海が好きな人」といった趣味・嗜好の問題と思われがちですが、じつは現代人がウェルビーイングを実現するために、不可欠な処方です。
自然との関わりが豊富で、自然とのポジティブな経験が豊富であれば、生態系や自然システムへの興味関心が増加し、他者や生態系への配慮が促されます。
また、自然との関わりを通じて、多様な年代の人と関わり協力し合うことで、つながり感を得て、信頼関係のある健全なコミュニティの形成を促します。
良質な自然との関わりが少ないと、その逆のことが起こります。
今、しきりに「環境問題が……」などといわれても、自分ごととは感じられず、ピンとこない人も多いと思います。現代的なライフスタイルのなかで、関わる機会がなければ当然です。
人の心身の不健康、社会の混乱、自然環境の劣化は、近代、人と自然が分断しすぎたことが大きく影響していると、ここで断言します。
自然との関わりを通して得られるのは、「心身の健康・ウェルビーイング」という自分にとっての大きな価値だけではなく、「社会の健康」「自然環境の健康」、つまり人を含む地球全体の健康・ウェルビーイングな状態を意味する「プラネタリーヘルス」です。
人の病を含む、地球全体の病を解決するために、現代人がまず第一にすべき処方は、自然との一体感を得ることです。

