田舎への移住で難治の不眠症から解放

鳥取では、畑だけでなく、フィールドワークで山や海に入る生活を送るようになったのですが、東京での仕事もあるので、月に何度か東京と鳥取とを往復する生活を送っていました。その間、再現性を持って、上京するととたんに不眠症になり、鳥取に戻るとすぐにぐっすり眠れるようになるということに気づきました。

桐村里紗『土に触れる人はなぜ健康になるのか 身体の中の自然を育てる』(光文社新書)
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私は、自分自身の体調管理のために、睡眠の権威である田中俊一理事長の運営する「パーソナルウェルネスクリニック丸の内」で、メディカルサービスとして、月1回の詳細な検査と診察を受けながら、日々の状態をデバイスで測定しています。

実際に、指輪型のデバイスをつけて測定してみると、東京に行くと1日目から、自律神経の状態を見る心拍スコアは50点になり、鳥取に戻って畑に触るなどの作業をし、自宅で眠ると、すぐに100点に戻るのです。

睡眠スコアも鳥取の自宅では90~100点になり、ノンレム睡眠とレム睡眠がきれいなトレンドを描き、理想の睡眠状態になります。

私は20代から東京で働いており、長年、自分は難治の不眠症だと思って生きてきました。でも、鳥取では苦労せずに熟睡することができるではありませんか! 長年の悩みはなんだったのか⁉ と考えてみると、その原因は「ノイズなのかもしれない」と思い至りました。

江府町の家は、夜になると、虫の音や、田んぼの時期にはカエルの合唱がBGMになります。「星取県」を名乗る鳥取県の中でも、江府町は、星空保全地域にも選ばれるほど星がきれいなのですが、つまり、それは「夜は真っ暗だ」ということ。街灯がないからこそ、本当の闇夜が経験できます。

夜の帷が下りれば、周りは漆黒の闇に包まれます。田舎の夜は早く、陽が落ちれば仕事を終えて、やることもないので眠る。そんな生活です。

そんな暮らしから東京に戻ってみると、改めて、都市には、車の音や機械音など、いろいろなノイズが溢れていることに気づかされました。24時間、色彩に溢れた電飾がうるさく光り続けます。

ずっと暮らしているときには無自覚だったのですが、自然と切り離された都市の暮らしの中で、私は人工的な刺激に常に晒され続けていたのです。私の自律神経は無自覚に「危機」と判断して、交感神経が過剰に働き、不眠症になっていたのだと思います。

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