人間関係を左右するにもかかわらず、普段なかなか意識をしない「話し方」。われわれは自分の話し方をどう評価し、相手からどう見られているのか。読者1497人のアンケートから浮かび上がった実態を報告する――。

話の内容は同じはずなのに、流暢に話す同僚のほうが周囲から支持を集めている――。そんな経験から話し方にコンプレックスを抱いたり、人を羨んだりしたことはないだろうか。プレジデントオンライン読者を対象にアンケート調査を実施したところ、話し方に対するさまざまな心象が見えてきた。

【図表2】アンケート回答者の年齢割合

まず確認できたのは、話し方に対する自己評価の低さだ。満足度について「どちらかといえば満足していない」の回答は約6割(Q2)。また、自分を「話し上手」と思うかに対する意識は、「どちらかといえばそうではない」の回答が全体の約3分の2を占めた(Q3)。話し方に苦手意識を持つ人のほうが多いと言えるだろう。

【図表3】自己分析 6割の人が自分の話し方に不満を感じている

なぜ話すことになかなか自信を持てないのか。これまで1000人を超えるトップエリートにプレゼンやスピーチなどの指導を行ってきたスピーチコーチの岡本純子氏は以下のように指摘する。

「世界的に見ても日本人はとりわけコミュニケーションに自信がなく、また、自己肯定感が低い人も多いと感じます。大きな要因の一つは教育でしょう。たとえば、アメリカの学校では子どもの頃から人前で話し、自分で考えて発表することがカリキュラムに組み込まれています。そうした場数を踏む機会が日本では圧倒的に少ないのです。

もう一つの理由として、日本特有の価値観や文化も影響していると思います。日本には『沈黙は金』『以心伝心』という考え方が根強くある一方で、敬語を使うため、上下関係なくフラットに話をする機会が少ないという側面もあります。こうした背景が、積極的に話す姿勢が育たない一因になっているかもしれません」

岡本氏が関心を寄せたアンケート結果が、「『理想の話し方』になれるなら、月にいくらまでお金を出しますか?」に対する回答だ。1万円以上を出すと答えたのは全体の3.6%。「お金を出す気はない」が51.9%と過半数を占めた(Q27)。

「アメリカではコミュニケーションを学ぶためにお金や時間を投資している人が珍しくありません。社会人になってからもスピーチやボディランゲージの教室に通って、筋肉を鍛えるようにコミュニケーション能力を磨くという発想があります。それに対してこの結果が示唆するのは、『話し方は天性の才能であって、お金をかけても仕方ない』という意識なのでは。そうは考えず、鍛えれば伸びるスキルだととらえてほしいですね」(岡本氏、以下同)

「でも」で相手を傷つけない最高の代替フレーズとは

自己評価が低いだけでなく、実際に他人に悪印象を与えるのは、どのような話し方なのだろうか。

注意された事項を尋ねた質問でもっとも多かった回答は「要点や結論がわかりにくい」。次いで「言い方がきつい・上から目線に聞こえる」だった(Q10)。さらに岡本氏は3番目の「話が長い」を問題視する。

【図表4】苦手意識もっとも多い指摘は「話の要点がわからない」

「『話が長い』は『要点や結論がわかりにくい』に通底する部分があり、一番困るのが『話が長くて要点がわからない』です。このような人には、話すうちに『この情報が足りないのではないか』と話を足していく不安型と、とにかく自分が喋りたいことを喋る自己顕示欲型があります。

(文=増田忠英 図版作成=大橋昭一)