瞬発的に見えるものも日頃の準備でつくれる
会議で急に「あなたはどう思う?」と振られて、頭が真っ白になった。そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。一方で、同じ場面でもすっと自分の考えを話すことができる人がいます。30秒もあれば、言いたいことをきちんと言葉にできてしまう。そんな「瞬発力」を持つ人をうらやましく思ったことがあるかもしれません。
ただ、私はこれを生まれつきの才能だとは思っていません。瞬発力のように見えるものも、実は日頃の準備でつくれるものだからです。
即答できる人とできない人の一番の違いは、準備の差です。会議に出る前に「○○について、自分はこう思う」ということを言葉にしておく。その言葉のストックを、できるだけ増やしておく。それができている人は、問われた瞬間にストックから1つ取り出せばいいので、慌てずにすみます。
準備といっても、一回限りの付け焼き刃では太刀打ちできません。日々、心が動いたことや「あれっ」と思ったことについて、なぜそう感じたのかを言葉にする。つまり、準備とは言語化する習慣を持つことなのです。
言語化というと、語彙が豊富な人や話の巧みな人の特権だと思われがちです。しかし、私は語彙の豊富さは全く関係ないと考えています。
話し上手な人は簡単でわかりやすい言葉を選ぶものです。私自身も、コピーを書くときはもちろん、普段の会話でも難しい言葉やカタカナ言葉は、できるだけ使わないようにしています。そのような言葉は、人に届きにくいからです。
さらには、雑談で場を盛り上げたり飲み会で周りを笑わせたりする力と、言語化の力は、別物だと私は考えています。実際、私も話すのは得意ではありませんし、雑談も苦手です。それでも、クライアントとのコミュニケーションで困ったことはありません。
話すのが苦手と思っている人は、相手の話を「聞く」ことを意識してみてください。自分の考えがすでに固まっていれば、聞いているうちに自然と「私はこう思います。なぜなら〜」と話せるようになります。そこから、会話のキャッチボールが生まれます。
すぐに意見を言える人は自分の軸がある人
では、言葉のストックはどうやって増やせばいいのか。私が日頃から心がけているのは、自分の心の小さな変化に気づくことです。「いいな」と思った。「なんだか嫌だな」と感じた。「モヤモヤする」。そんな心の動きは、家族との会話にも、上司とのやりとりにも、必ずあるはずです。そのとき、一度立ち止まって、「なぜ自分はそう感じたのか」を問いに変えて、原因を言葉にしてみるのです。それを重ねていくと、自分の軸のようなものが見えてきます。特に、イラッとしたときのネガティブな感情ほど、「問い」にして書き出します。それで、モヤモヤの原因がわかると同時に、自分が実は何を大切にしているかがわかります。原因がわかれば同じ状況でも冷静でいられますし、今後そのような状況を避けることもできます。
ところが、多くの人は忙しくてつい流したり、「自分がまちがっているのでは」と抑え込んでしまいます。上司やクライアントが何を好み、どんな人なのかはよく分析するのに、自分のことは後回しにしがちという人は多いと思います。その分析の目を、自分に向けてみてください。自分が何を好きで、何が苦手なのか、なぜそう思うのかを知る。そうして自分の軸がわかれば、急に「どう思う?」と振られても、自分の考えを話せるようになります。自分の意見をはっきり言葉で伝えられるようになると、仕事上のコミュニケーションが円滑になるだけでなく、毎日が生きやすくなります。
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