ストレスを解消できる手軽な気分転換法はないか。医師の桐村里紗さんは「土に触れる農作業体験は、ストレスを軽減すると同時に、幸福度を向上させてくれる。また、住環境の周りの生物多様性が高いほど、免疫細胞に作用してアレルギーを低減させることもわかっている」という――。

※本稿は、桐村里紗『土に触れる人はなぜ健康になるのか 身体の中の自然を育てる』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

日本人女性がバラを植えている
写真=iStock.com/kazoka30
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土に触れると心身ともに健康になる

土に触れることの大切さについては、前著『腸と森の「土」を育てる』でたっぷりと触れました。コロナ禍で、土に触れる日常にシフトした人はますます増えましたし、読者の方から熱狂的な「土愛」を熱く語っていただくこともあります。

私たちは、コロナ禍の潔癖生活の中で、本能的に土との触れ合いを求めていたのだと思います。ここに、改めてその効果をお示ししましょう。

効果①:ストレス軽減と幸福度の向上

土に触れる農作業体験は、ストレスを軽減すると同時に、幸福度を向上させてくれることがわかっています。

順天堂大学は、農作業や自然体験を通じた精神的な癒しを、「アグリヒーリング」として、研究を進めています(※1)。

土に触れ、野菜などを育てることで、ストレスによって増加するコルチゾールやαアミラーゼ、免疫グロブリンA、クロモグラニンなどの物質が抑制されます。また逆に、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの産生が増加します。オキシトシン濃度は、作業から帰宅したあとも、作業前よりも高い状態が維持されることがわかっています。

ふだんは都市部にいる人の方が、ストレス軽減効果は高くなっています。日常的に農作業を行なっている人よりも、新鮮さや、期待値の高さがあることが関係していると考えられています。

たしかに、農作業が日常の仕事になると、それはストレスになってしまうこともあるかもしれませんが、気分転換として位置付けられることで、効果的に活用することができそうです。

身体を使っての農作業は、五感をフル活用する行為です。脳の大脳皮質から大脳辺縁系、そして自律神経やホルモン、免疫の中枢である視床下部に刺激が伝わることで、自律神経の調整、ストレスホルモンの抑制と幸せホルモンの分泌につながっていると考えられています。

今後、医療や介護、福祉分野への応用や、企業人のメンタルストレス対策プログラムなどへの展開が期待されています。

※1 https://www.juntendo.ac.jp/assets/2.38.2019.pdf