常に天文学的な数の微生物に囲まれている

効果③:アレルギーの低減、免疫の調整

住環境の周りの生物多様性が高いほど、そこに住んでいる人の皮膚には、土壌菌の一種のガンマプロテオバクテリアが生着し、その多様性が高いことがわかっています。また、なかでもアシネトバクター属が豊富であるほど、免疫細胞に作用してアレルギーを低減させることもわかっています(※5)。

桐村里紗『土に触れる人はなぜ健康になるのか 身体の中の自然を育てる』(光文社新書)
桐村里紗『土に触れる人はなぜ健康になるのか 身体の中の自然を育てる』(光文社新書)

最近は、「土は汚い」という感覚を持つ人も増えているようです。もちろん、傷口から入ることで破傷風を起こすような菌や、毒を持つカビ菌も暮らしていますが、健康な状態の皮膚で触っても、簡単には病気にはなりません。

人類の歴史のなかでも、現代のように超衛生的な環境に暮らす方がまれで、ヒトは多くの時間を、自然界にいる微生物たちと共生して暮らしてきました。

昔からの日本家屋には、土間があり、縁側があり、厩があり、内と外の境界線はあいまいで、環境に暮らす生き物や微生物も人とともに暮らしていました。諸外国においても、昔ながらの暮らしは同様です。

ときに、人間が接触したことのない微生物が人間界に入ってくることで、共生関係の均衡が乱れ、スペイン風邪や新型コロナウイルス感染症の大流行のように、歴史的で大規模な感染症の流行が起こることがあります。

しかし私たちは、目に見えなくても、常に天文学的な数の微生物に囲まれながら暮らしています。おおむね、私たちの身の周りにいる微生物は、人間とも共生関係にあります。

※5 J Allergy Clin Immunol. 2014 Dec;134(6):1301-1309.e11. https:// pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25262465/

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