微生物多様性が全国トップレベルの土地
効果②:認知機能の改善、動脈硬化の抑制
私が実践している栽培方法、「シネコカルチャー(SynecocultureTM/協生農法)(※2)」を作業療法として実践することで、認知機能を改善し、動脈硬化を抑制する可能性も示されています。
「シネコカルチャー(協生農法)」は、通常の農法と違って、農薬や化学肥料不使用、無耕起(農地を耕さないこと)、かつ、畑にたくさんの種類の植物を混生密生させ、生物多様性を人の手でより豊かに高め、生態系の機能を高める「拡張生態系」をつくる栽培方法です。
この畑で、身体を使ったリハビリテーションを行ないつつ、個別の生活習慣改善指導を併用することで、3カ月後には、認知機能のスコア(MoCA score)が改善し、動脈硬化に悪影響を及ぼす炎症マーカー・ホモシステインの値が低下したことが報告されています(※3)。
前著で、開墾したことを報告した、地元Jリーグチーム・ガイナーレ鳥取のスタジアム横にある拡張生態系の圃場(現在は公開していません)は、最初、ビーチのように草一本生えていない砂地の状態から始めたのですが、たった1年4カ月で、微生物多様性が全国トップレベルに高い土地になりました。
全国偏差値で50.9しかなかった、微生物多様性の乏しい状態から、偏差値85.5という、とんでもない数値を叩き出しました(BIOTREX, SONY CSL dataset)。大学入試で考えると、日本一偏差値が高い東京大学理科三類の偏差値は、77(ベネッセ調べ)ですから、余裕で受かります。
植物や昆虫と共生する効果
「まさか、この乏しい砂地が、この短期間でこんなに豊かになるなんて!」と関係者一同、驚きました。
実践の様子は、『報道特集』(TBS系)が「農薬・肥料使わず、土も耕さない、多様な食物を育てる『協生農法』の可能性とは」と題して報道してくださり、YouTubeで観ることができます。また、その映像は『サステナ・ファーム トキと1%』という映画にもなりました。
土壌微生物が豊かな畑の作物は、病害にも強くなります。
植物の根と共生する菌根菌は、その相互作用のなかで、植物にさまざまな情報を送り込み、植物の栄養素や水分の吸収の改善、ストレスへの耐性の向上などをサポートします。
また、たくさんの植物や昆虫などが共生することで、その相互作用によって、植物はストレスへのレジリエンスを高め、さまざまな化学物質・ファイトケミカルを生み出し、それが人の健康にもポジティブに働きます。
協生農法のお茶には、ファイトケミカルが多く含まれることがわかっています(※4)。
※2 「SynecocultureTM」はソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)シニアリサーチャーの舩橋真俊によって研究開発された、生態系の原理に基づく革新的な栽培法です。「SynecocultureTM」はソニーグループの登録商標です。「協生農法®」は株式会社桜自然塾の登録商標です。
※3 Funabashi M. Living in a Hotspot of City and Biodiversity: The Case of Synecoculture. BiodiverCities by 2030: Transforming Cities with Biodiversity. Berlin Instituto de Investigación de Recursos Biológicos Alexander von Humboldt; 2022;252-253
※4 Ohta K, et. al. Secondary Metabolite Differences between Naturally Grown and Conventional Coarse Green Tea. Agriculture. 2020;10(12):632.


