チワワ、ポメラニアンは甘えん坊なのか
ヒトに強い愛着を抱く性格は、特定の人物とイヌとの独占的な関係をつくることにつながります。古代犬種(柴犬や秋田犬を含む)のように自立心の高い犬種はそれなりに魅力的ですが、子犬のように愛嬌をふりまいて私たちを頼りにしてくるイヌをみれば、私たちは思わずかわいいと思うでしょう。現代犬種の中には、愛玩犬種(またはトイ犬種)とよばれる小型化が進んだ犬種グループがいます。愛玩犬種は家庭でも飼いやすく、ヒトが抱き上げたりひざの上にのせたりできるように改良されてきたとされますが、実際の性格はどうでしょうか。
AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)の分類では、チワワ、マルチーズ、パピヨン、ポメラニアン、パグ、シー・ズー、トイ・プードルといった犬種が愛玩犬種とされています。C-BARQ(イヌの恐怖心と攻撃性を細かく調べる質問紙調査票)の結果から、古代犬種では愛着関連の性格スコアが低いものの、それ以外の犬種グループ間では愛着関連の性格に大きな差はみられず、愛玩犬種がとりわけ愛情深いとは言い切れません。愛玩犬種グループは恐怖心と攻撃性がどちらも高い。オモチャのように扱いやすいわけではけっしてありません。
チワワの血統が入ると服従性が低い
DPQ(より広い範囲のイヌの性格を分析する質問紙調査票)にもとづく大規模な性格研究でも、AKCの分類にもとづいて性格の犬種差が調べられました。その結果をみると、愛着を求める傾向という性格スコアは愛玩犬種とほかの犬種グループで差がありませんでした。しかし、愛玩犬種はヒトの指示への服従性とイヌへの社交性が低い傾向がみられました。雑種犬の遺伝子を解析すると、チワワの血統が入っていると服従性が低い傾向がありました。このように、予想に反して、愛玩犬種はヒトに対して愛情深くなるという方向ではなく、むしろヒトの指示に従いにくく、ほかのイヌともなかよくなりにくいという性格をもっているようです。
では、C-BARQと遺伝系統の大規模な比較の結果はどうでしょう。愛着が強すぎるとその対象への依存につながり、飼い主がいなくなったときにひどい不安に駆られるようになります。もしかすると愛玩犬種は分離不安傾向が高いのではないかと考えられますが、実際にはその予想は支持されませんでした。むしろ、分離不安的な問題行動の得点と関連がみられたのは、嗅覚ハウンドの遺伝的系統でした。



