オオカミから遠い犬種ほど脳が大きい
最後に、現代犬種の進化過程において脳サイズが増大してきた可能性を示す研究データに触れておきましょう。家畜動物は祖先種と比べて相対的な脳容量が小さくなるという共通の特徴をもっています。しかし、イヌは脱オオカミ化以降に古代犬種から現代犬種に至るまで実に多様な犬種が生み出されていますので、家畜化以降に脳構造が変化してきた可能性があります。
そこでハンガリーの研究チームは、高解像度CTスキャンを用いて159犬種の脳サイズを推定しました。その結果、やはりイヌはオオカミよりも脳サイズが縮小していましたが、各犬種の祖先種との遺伝的距離を考慮すると、オオカミからの遺伝的距離が離れた、いわゆる現代犬種の相対的な脳サイズは古代犬種よりも大きいことが明らかになりました。犬種の作業役割に加え、寿命や産子数などのほかの要因は脳サイズと関係ありませんでした。
現代犬種における脳の増大の理由は定かではありません。しかし、おそらくヨーロッパを中心に進められた厳密な選抜育種の影響がそれを引き起こしていることはまちがいないでしょう。
認知と性格の関連はよくわかっていませんが、ここでまとめたように、イヌの認知能力の犬種差は今後の研究の進展が期待されるとても興味深いテーマです。
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