関係者は「端から無理だった」

アニメや食などの日本文化を海外に売り込む目的でスタートした「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン=CJ機構)の2026年3月期の累積損失が540億円に達し、「公金の無駄使い」と非難を浴びている。主管する経済産業省は来年度、財政投融資特別会計で運用されている同機構関連の要求を盛り込まず、有識者会議を設けて統廃合を検討。年内に方向性を打ち出すという。

「クールジャパン機構」/発足式典
写真=時事通信フォト
「クールジャパン機構」(海外需要開拓支援機構)の発足式典で笑顔を見せる太田伸之社長(前列中央)ら=2013年11月25日午後、東京都港区

4年前に80億円を支援(出資)したコンサルティング会社「刀」(大阪市北区)の関連会社で、テーマパーク「ジャングリア沖縄」(沖縄県名護市)を運営する「ジャパンエンターテイメント(JE)」の親会社が、26年6月期に173億円の最終赤字を計上するという想定外の事態も出来し、CJ機構に対する逆風は強まるばかりだ。

あるCJ機構関係者は「コンテンツ制作や食といったソフトな産業分野は、民間でも短期間に結果を出すのが難しい。『民業を圧迫するな』『儲けすぎず、損失も出すな』などと融通の利かない官民ファンドでそれを実現しようとすること自体、端から無理だった」と述懐する。

過去にもエンタメ輸出は失敗していたが…

安倍政権の成長戦略を担う官民ファンドの一つとして13年11月に発足したCJ機構には26年3月現在、政府が93%の1406億円、民間企業23社が7%の107億円を出資している。カネボウやダイエーなど経営危機に陥った企業の救済を目的に03年4月に設立された初の官民ファンド「産業再生機構」が、4年間で433億円の利益を上げる成功を収めたことも、同機構の設立を後押ししたとみられる。経済部記者が解説する。

「日本のエンタテインメント作品をハリウッドに売り込む目的で11年10月に設立された『ANEW』は、経産省主管の官民ファンド『産業革新機構』(09年7月設立、現・産業革新投資機構)が全額出資してスタートした会社でしたが、一向に成果を挙げられませんでした(17年5月に民間の投資ファンドに売却)。民主党政権下のその頃、日本文化を戦略産業と位置付けるクールジャパン構想が政府内で浮上、その実現に向けてCJ機構が新たに設立されました。ただ、ANEWよりはるかに広範な分野を手掛けることになるため、同省は当然、同機構の出資には必然的に高いリスクが伴うことを理解していたはずです」