累積赤字540億円、廃止の瀬戸際
日本のコンテンツを海外に売り込もうとしてきた官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が巨額の赤字を抱えたまま廃止となる方向が決定的となった。
所管する経済産業省は7月、累積損失の要因や責任などについて議論する有識者検討会を設置し、年内をめどに廃止や統合に向けた議論をまとめる作業に入った。だが、統合できそうな官民ファンドは見当たらない。
さらに、8月には、投資の原資となる財政投融資について、2027年度の概算要求を見送った。新規投資の凍結である。
「クールジャパン機構」は、2026年3月末に累積損失を426億円に抑える目標が掲げられていた。だが、2025年度決算は、売上高は44億円で純損益が156億円の大赤字となり、累積損失は540億円に大きく膨張したことが判明した。万年赤字体質から脱却できない中、たびたび延命策を講じてきたが、崖っぷちに立たされたのに達成できず、ついに「万事休す」となった。
廃止となれば、国が拠出した公的資金が数百億円単位で回収できなくなる懸念も高まる。
第二次安倍晋三政権が鳴り物入りで始めた看板政策の「クールジャパン」は、実にお粗末な幕引きになりそうだ。
失敗の総括前に、もう次の政策
国民の税金を使うことには長けていても自ら稼ぐことはしない官僚に、投資先の「目利き」を求めることに無理があったと言わざるを得ない。
官民ファンドの多くは、軒並み累積損失を計上しているが、むべなるかなである。
新聞各紙は一様に、「失敗」の徹底的検証を行い責任の所在を明らかにするよう糾弾しているが、お役所仕事で事なかれ主義がまかり通る官僚たちには馬耳東風かもしれない。
何しろ、「クールジャパン機構」の「失敗」の総括も済んでいないのに、高市早苗政権が官民で取り組む「戦略17分野」の一つに「コンテンツ産業」を押し立て、新たにコンテンツの海外展開を図る省庁横断の司令塔を立ち上げ、すかさずアクションプログラムを策定するという「次」の一手を用意しているのだから。
だが、一言でいえば、「クールジャパン機構」の「焼き直し」ではないだろうか。
「失敗」に懲りない官僚たちにはあきれるばかりだ。

