政府が9割出資、投資先は苦戦続き

「クールジャパン機構」は、アニメやマンガをはじめ、日本食、ファッション、観光など日本発コンテンツの海外展開を後押しするため、2013年に設立された官民ファンド。

2026年3月末時点の出資金は1513億円で、このうち政府分は1406億円と9割を占める。主な原資は、国が保有する株の配当などから捻出される財政投融資の資金が当てられている。

経営陣のトップは民間から迎えたが、実務責任者と言える3人の専務執行役員のうち2人は、経産省と財務省からの出向組。60人前後の職員も、中軸は各省から集められた。

これまでに83件、2040億円の投資を行ってきたが、収益が上がるどころか、毎年のように赤字を出し、苦戦が続いていた。

たとえば、日本アニメの海外向け動画配信などを行うために2014年に立ち上げた「アニメコンソーシアムジャパン」。10億円を出資したが、米ネットフリックスなど大手動画配信事業者との競争に敗れ、わずか2年半で手放してしまった。

日本のテレビ番組を海外で放送する「WAKUWAKU JAPAN」にも44億円を出資したが、想定したほどの海外展開には至らず、2022年3月で放送・配信を終了した。

140億円を投じた企業のつまずき

また、2016年10月にマレーシアで開業した日本ブランドを扱う大型商業施設「マレーシアジャパンモール」にも10億円余を出資したが、品揃えが貧弱なうえ価格設定も高額で現地で受け入れられず、2年足らずで撤退するハメに。

2025年7月に沖縄に開業したテーマパーク「ジャングリア沖縄」を手がける企業(株式会社刀)にクールジャパン機構は80億円を出資しているが、評判は芳しくなく回収できるかどうかは微妙だ。

そして決定的だったのが、微生物由来の「人工クモの糸」を使用した繊維を開発するベンチャー「Spiber(スパイバー)」の大ケガ。「繊維産業への出資がクールジャパンなのか」と危惧されていたが、計140億円も投資したにもかかわらず、2026年3月に業績不振のため安値で事業譲渡されてしまった。

これが致命傷になり、「クールジャパン機構」の廃止が現実のものとなった。ちなみに、明確な成功例と言えるのは、日本のラーメンを海外に売る「博多一風堂」くらいしか見当たらない。

投資先を広げすぎて、目利き不在に

「失敗」の原因は明らかだ。

投資する事業の選定にあたって、「目利き」ができる優秀な人材がいなかったからにほかならない。もともとビジネスに関わったことがない官僚を経営の意思決定の中心に据えているようでは、ハナから多くは望めなかった。

そこで、民間から人材を集めようとしたものの、高額な報酬を用意できなかったこともあって、精鋭で布陣を固められなかったようだ。

このため、海外の事情に不案内で現地のニーズもつかみきれないまま、投資案件だけが積み上がっていった。

設立の目的もあいまいだった。

日本ブランドを売り込みたいのか、それとも収益を上げたいのか、どっちつかずのまま迷走を続けてしまったとされる。