仕事で成果を伸ばすにはどうすればいいか。『2000店舗を成功に導いたプロのメソッド 出店戦略の最強技法』(日本能率協会マネジメントセンター)の著者で、元ローソン理事執行役員の石井昭人さんは「業績のいい事業でも、『本当はもっと売れるのではないか』と疑ってみることが重要だ」という――。

その儲かる店は、本当に最大値?

「儲かっているのだから、わざわざ変える必要はない」ビジネスの現場では、よくある判断です。

業績が悪い店なら、改善する。赤字事業なら、見直す。しかし、順調に利益を上げている店や事業に対しては、「下手に触らないほうがいい」と考える人が多いのではないでしょうか。

けれども私は、むしろ「儲かっているもの」ほど、一度疑ってみる必要があると考えています。

なぜなら、今の数字が好調だからといって、それがその事業の「最大値」とは限らないからです。

私は30年以上にわたり、セブン‐イレブンやローソンなどで店舗の出店や運営に携わってきました。そのなかで、今でも強く記憶に残っている店舗があります。

セブン‐イレブンの店舗
写真=iStock.com/Prapat Aowsakorn
※写真はイメージです

店舗開発担当者時代のことです。

埼玉県内にあったその店は、1日の売上が約60万円。年間約2.2億円という好調店でした。

普通に考えれば、何も問題はありません。

ところが私は、その店を見ながら「本当はもっと売れるのではないか」と考えていました。

元ローソン理事執行役員の石井昭人さん
本人提供
元ローソン理事執行役員の石井昭人さん

売上には表れない「お客様」がいる

そう考えた理由は、売上の数字には表れないお客様が見えていたからです。

レジが混雑して、並ぶのを諦めて帰るお客様。

駐車場が満車で、店に入れず、そのまま通り過ぎる車。

さらに重要なのは、そうした状況をすでに知っていて、「どうせ混んでいるから」と最初から来店しないお客様もいるのではないか、ということでした。

当然、この人たちはPOSデータには出てきません。

商品を買っていないのですから、売上データだけをいくら分析しても見つけることはできません。