※本稿は、佐藤正久『日本人だけが知らない ドローンとAIの戦争論』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
日本近海は中朝ロの潜水艦ひしめく過密地帯
海面下数百メートルという深い闇の中を、音もなく姿も見せず、ただ静かに敵を待ち伏せる潜水艦は、まさに“海の忍者”と呼ぶにふさわしい、恐ろしい兵器です。じつは日本周辺の海には、驚くほど多くの潜水艦が蠢いています。
近隣諸国の状況を見ると、中国は約60隻もの潜水艦を保有しており、ロシアも極東方面に同規模の数を配備しています。さらに北朝鮮も、旧式ながらも数多くの船体を持ち、近年では新しい核潜水艦の開発も進めています。
これに対し、日本も世界トップクラスの性能を誇る潜水艦を22隻運用しており、ここにアメリカ軍の戦力約70隻が加わります。つまり、日本近海は世界でも有数の「潜水艦の過密地帯」となっているのです。
ここで気になるのが、こうした他国の潜水艦が日本の領海内にまで入ってきているのかという点です。
空には領空があるように、海にも沿岸から約22キロ(12海里)までの範囲に「領海」という境界線があります。ここを無断で潜航して通れば、当然ながら領海侵犯になります。しかし、日本の周りの海の大部分は「公海」と呼ばれる自由に通れる場所であり、領海はごくわずか。わざわざ見つかるリスクを冒してまで狭い領海内に入り込む可能性は低いと考えられます。
「日本の玄関口」を潜ったまま通れるワケ
とくに「日本の玄関口」と言われる宗谷海峡や津軽海峡、対馬海峡などは、外国の船が自由に航行できる「公海」としての性質を持っています。そのため、他国の潜水艦も潜ったまま通過することが可能です。
しかし、こうした重要な通り道では、高性能なソナー(水中マイク)を設置したり、対潜哨戒機を飛ばすなどして、自衛隊やアメリカ軍が常に厳しい目を光らせて監視しています。姿の見えない“忍者”であっても、日本の玄関口をこっそり通り抜けるのは容易ではありません。
魚雷も劇的な進化を遂げています。かつての“放てば直線的に進む水中爆弾”から、スマート化された「水中の精密誘導兵器」へと。
現代の魚雷には「自動追尾機能」(ホーミング)があります。追尾の仕方は基本的に2種類。「パッシブ」(受動式)と「アクティブ」(能動式)です。
パッシブは敵の潜水艦や艦船の音波や航跡波を追い、アクティブは魚雷から超音波を敵艦に向けて発信して、その反射波から目標を確定するものです。
この機能により、命中率は上がりましたが、弱点もありました。敵のデコイ(ダミー・おとり)に騙されてしまうからです。この弱点を解消するために考案されたのが、「有線誘導」という方法です。

