食欲の秋こそ気になる「ダイエット」
秋になると、鮭、きのこ、牡蠣、新米など、おいしいものが一気に増えますね。いわゆる「食欲の秋」です。
しかし産業医として相談者のお話を聞いていると、食欲の秋は嬉しいことばかりではありません。
「最近、お腹が出てきた」
「健康診断で中性脂肪が引っかかった」
「昔と同じように食べているのに太る」
「そろそろ油ものを控えたほうがいいのかな」
特に40代、50代になるとこうした相談が増えてきます。
そして健康やダイエットを意識すると、
「揚げ物は禁止」
「肉を食べるときは脂身を外す」
「ドレッシングはノンオイル」
と、まず脂質を減らそうとする方が少なくありません。
たしかに脂質は1gあたり9kcalで、糖質やたんぱく質の約2倍のエネルギーがあります。そのため、ダイエットでは「まず脂質を減らそう」と考えやすいものです。
しかし脂質を一括りにして「減らせば減らすほどいい」と考えるのは適切ではありません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(注1)でも、成人の脂質は総エネルギーの20~30%が目標量とされており、脂質を避けることを勧めているわけではないのです。
注1:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」内、各論「脂質」
「太るから」と避けがちな脂質の重要な役割
脂質は神経細胞から発するシグナルの伝達など、脳が働くために重要な役割を果たしています。また、コレステロールはテストステロンやエストロゲンなど、さまざまなホルモンを作る材料になります。さらに脂質は、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンの吸収にも重要な役割を果たしています。
メンタルの安定や、日々の仕事のパフォーマンスを保つうえでも、脂質含めて必要な栄養をきちんと摂ることは大切です。量と質を考えながら、必要な脂質をきちんと摂りましょう。
そして、ダイエットを考えるうえでもう一つ大切なのが、「満足感」です。
たとえば、昼食をサラダだけにしたために、午後3時頃にお腹が空いて仕事に集中できなくなり、夕方にはお菓子を食べてしまう。そして帰宅する頃には空腹が限界で、帰りにラーメンや丼を食べたり、コンビニでビールやお菓子を買い込んだりしてしまう……。こうしたパターンは本当に多いのです。
これは、単純に意志が弱いからというわけではなく、そもそも日中に必要な栄養を十分に摂っていないことが原因かもしれません。
朝食や昼食をもう少しきちんと食べて、満足感を得ておくことで、余計な間食や夜の食べすぎを防げることがあります。
では、どうすればもう十分食べたと感じられるのでしょうか。

