地元自治体への「道路予算カット」発言で、簗和生農水相が批判を浴びている。高市早苗首相は発言を「不適切」としながらも、続投させる意向を示した。ジャーナリストの須田慎一郎さんは「簗氏は地元政界で“よそ者”と見られ、地方議員らの要求を拒み続けてきた。その対立を知らずに更迭すれば、最も喜ぶ勢力がいる。更迭が根本的な解決にはならない」という。問題発言の裏で何が起きていたのか――。

※本稿は、須田慎一郎氏のYouTubeチャンネル「ただいま取材中!」の一部を再編集したものです。

2月の衆院選の街頭演説で、簗和生氏(右)の隣で笑顔を見せる自民党総裁の高市首相
写真=共同通信フォト
2月の衆院選の街頭演説で、簗和生氏(右)の隣で笑顔を見せる自民党総裁の高市首相=栃木県那須塩原市

猛批判も「簗大臣続投」を決めた高市首相

今、国会で最も注目を集めている簗和生農林水産大臣の「予算カット」発言問題。自身を支援しなかった自治体の道路予算を削減するよう圧力をかけた疑惑であり、事実であれば大臣の資質が問われる事態だ。

野党から厳しい追及を受ける中で、10月8日、高市総理は「私自身、発言は不適切だと考えましたので、厳しく注意をしました。しっかりと説明をした上で、襟を正して、職責を全うしてほしいと」と述べて、更迭する意思はないことを示した。しかし、この判断に対しても世論から大きな批判が巻き起こっている状況にある。

だが、この発言部分だけを切り取って「とんでもない発言をした、とんでもない大臣」と糾弾し、例えば大臣ポストを更迭したり、あるいは議員辞職に追い込んだりしたところで、果たしてそれで全てが「幕引き」となるのだろうか。

私は、問題発言の一報を受けてすぐさま現地へ足を運び、複数の関係者と面会して取材を重ねてきた。その内容から、仮に簗大臣が更迭されたとしても、問題の本当の決着にはならないと見ている。

なぜなら、この事態の背景には、現在話題となっている福岡県議会の問題にも通底するような「地方政界のドロドロとした闇」が横たわっているからだ。見方を変えれば、簗農水相はこの地方政治の泥沼における、ある種のスケープゴートにされてしまった可能性すらある。

問題の本質は、表面的な失言騒動ではなく、このすっきりとしない、釈然としない地方政治の理不尽な力学そのものにある。現地取材を通じて、私はその認識を強く持つに至った。

もちろん、だからといって何らかの処罰が一切行われず、現状追認でよしとするわけではない。本稿では、私が現地で掴んだ事実関係を共有した上で、一体この問題にどのような決着をつけるべきなのか、その判断を読者の皆様に委ねたい。