「内輪の宴」で飛び出した問題発言
事の経緯を時系列で追っていこう。発端となったのは、5月24日に開かれた自民党支部総会後の出来事である。
簗農水相の選挙区である「栃木3区」は、彼の地元であり強固な地盤である大田原市をはじめ、矢板市、那須塩原市、那須烏山市、那須郡那珂川町、そして那須町という複数の自治体で構成されている。
この5月24日、支部総会の後に懇親会が開催された。ただし、これはあくまで非公開の場であり、簗氏を地元で支える有力な後援者や熱心な支援者など、ごく少人数だけが集まった「内輪の宴」であった。のちに簗氏が記者会見で「プライベートな会合だった」と釈明したのは、そういう意味合いからである。
ところが、この懇親会に遅れて到着した簗氏の口から、耳を疑うような言葉が飛び出した。「那須烏山市と那珂川町の2026年度の道路予算を大幅にカットした」——。
さらに同氏は、名指しした自治体の首長が「自民党の国会議員は不要である」という行動をとり、多くの市民や町民がそれに追随する判断を下したと、恨み節とも取れる一連の発言を行ったのである。
実際に予算は削減された
この発言を文字通りに受け取れば、農水相就任前の簗氏が自民党の国会議員という立場を利用し、自身を応援しなかった自治体への“意趣返し”として、国土交通省に圧力をかけて予算を減額させたことになる。「自分が働きかけて予算を削ったのだ」と誇示しているようにしか聞こえない。
しかも、見過ごせない事実がある。実際の2026年度予算を確認すると、確かに那須烏山市と那珂川町の道路予算は、前年度と比較して大幅なカットとなっているのだ。
首長の態度への報復として予算を削ったという発言と、実際の予算配分の動きが見事に一致している。国交省は、簗氏から問い合わせは受けたものの、予算配分への影響は「一切ない」と否定している。それでも、この符合を見れば「簗氏の働きかけに国交省が応じた」と見るのが自然だろう。
そして、あろうことか、極秘裏に行われたはずのこの会合の音声データが外部へと流出し、『週刊新潮』や『週刊文春』の手に渡った。これが、現在世間を騒がせている一連の報道の引き金となったのである。

