なぜ、予算削減する力を誇示したのか
さらにもう一つ、重要な背景がある。
この栃木3区には突出した主要産業があるわけではなく、土木建設業によって地域経済が回っている、いわゆる「土建王国」なのである。
したがって、道路予算が削られたということ、あるいは「自分には予算を削る力がある」と誇示することには、この地域において極めて重大な意味合いが含まれている。
実のところ、地元の地方議員たちはこの土建業界と密接に結びついている。ここで見えてくるのが、現在問題視されている福岡県議会にも通底する異様な構図だ。県議や市議といった地方議員たちが「自分たちの背後には土建業界がついている。俺たちの言うことを聞け。言うことを聞かないなら選挙で落選させるぞ」と、国会議員に対して猛烈な圧力をかけているのである。
さらには、国会議員に対してカネを要求するような地方議員まで存在したという複数の証言があった。議長や副議長ポストをめぐってカネが飛び交ったとされる福岡県議会の騒動を彷彿とさせるような、生々しい動きが起きていたのだ。
こうした理不尽な要求に対して、簗氏は一貫して拒否の姿勢を貫いていたと複数の関係者から聞いた。「そんな要求には乗れない」と突っぱねていたのである。
簗大臣更迭で喜ぶのはだれか
したがって、今回の「予算カット発言」だけを切り取って見れば、当然ながら簗農水相に大きな責任がある。だが、単に彼を更迭して済む話なのだろうか。
もし、地元土建業界のある種の意図や思惑に乗っかる形で週刊誌が報道し、結果として簗氏の追い落としを図り、政治的に葬り去ってしまったとしたらどうなるか。要するに、地元の利権を貪る勢力にとって「最も喜ばしい状況」を、正義を振りかざしたメディアが作り出すことになる。
これもまた、あまり釈然としない。

