子どもの読解力を伸ばすには、何が必要か。出版ジャーナリストの飯田一史氏は「漢字の読み書き能力と読解力の相関は非常に高い。漢字が苦手な人はその読み書きに脳のリソースを割かれ、文章の意味理解や推論に力を使えなくなる。だからこそ、漢字をくりかえし書いて覚える勉強には意味がある」という――。
※本稿は、飯田一史『「若者の読解力低下」というウソ』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。
他国ほど親の財力が成績格差を生まない日本
学力に関わるもののなかでもっとも影響が大きいのは遺伝であり、その次に影響が大きいのは環境である。遺伝的な素質を開花させるためにも、環境が重要になる。
「親の年収が高いほど子どもの学力が高い」という傾向は、日本でも確認されている。ただ、その相関は、遺伝や個人の認知能力と比べるとそこまで強くはない。認知能力とは、情報を理解し、考え、判断し、解決する能力である。頭を使っていろいろなことをこなす力のことだ。
PISA(学力を「国際比較」する学習到達度調査)の調査では、保護者の職業、学歴、家庭の所有物から算出される「社会経済文化的背景(ESCS)」指標を用いて分析が行われている。PISA2022のデータでは、日本のESCSが数学的リテラシーの得点のバラつきを説明する割合は11.9%で、OECD平均の15.5%よりも低かった。
なお、読解リテラシーでは8.8%、科学的リテラシーでは9.2%。つまり、日本では金持ちの家のアドバンテージが、他国ほどは成績の格差を生まない。公立の学校などが貧富の差を埋める働きをしているのだろう(*1)。
*1:OECD. (2023). “PISA 2022 Results (Volume I): The State of Learning and Equity in Education.” Paris: OECD Publishing.


