警察庁の統計によれば、9歳以下の子どもが、年間1000人以上も行方不明になっている(2024年は1035人)。子どもが被害者になる事件は多様化・深刻化してきている。天野さんとてぃ先生に、自分の身を守る術を教えてもらった。

まずは逃げること! その練習をしておこう

少し前までは、子どもに「知らない人についていかないでね」と言えば十分でした。でも今は、それだけでは足りない時代になっています。

「知らない人だけでなく、顔見知りの大人から被害に遭うケースが増えています。しかも、親がその場にいる状況でも起きています」と天野さんは警鐘を鳴らします。また、「最近の性暴力の被害は女の子だけではありません。男の子が被害に遭うケースも実は多い」とも。

「いざというとき、もっとも大事なことは“逃げること”です。でも、怖い思いが先に立つと動けなくなってしまう子もいますので、練習しておくことが大切です。大きな声を出す、防犯ブザーを引っ張る、手をつかまれたら思い切り振り払う。これらは練習しておかないと、いざというときに体が固まって動けなくなります。公園や家で練習しておくと、いざというときに体が思い出しますよ」とは、てぃ先生。

天野さんは、娘さんと一緒に「笑う練習」をしているそうです。

「笑うと筋肉のこわばりが解けて冷静になれるのと同時に、相手が一瞬ひるみます。その隙に逃げなさいと伝えています」(天野さん)

また、「親の許可なく知らない人についていかない」「食べ物や物をもらわない」「いつもの道から外れない」など、具体的なルールを三つくらいに絞っておくことも効果的だと、てぃ先生は言います。

地域、ご近所と顔見知りになっておこう

天野さんは、逃げ込める場所を親子で確認しておくことを勧めます。

「大きな声が出せなかったら、とにかくその場から離れて、人の多いほうに向かうこと。いざというときは、図表1にあるような行動をとれるようにしておきましょう。普段から、コンビニやカフェなどがどこにあるか確認しておくこと。困ったときに逃げ込める知り合いのおうちも覚えておくといいでしょう。しっかり挨拶をして、顔と名前を覚えてもらうといいですね」(天野さん)

「いざというとき、自分なりに考えて行動できる力をつけておくことが大切です。何でも親が先回りしてしまうと、その力は身につきません。この人は怪しい人か信じていい人か、人を見る目も養っておきたいですね」(てぃ先生)

危険な目に遭わないための対策として気をつけたいのは、名前を外から見える場所に書かないこと。傘やかばん、袋などの持ち物から名前が見えると、名前で呼びかけられ、親しげに近づかれる危険があります。

「いざというときのために、親の携帯番号を暗記させておきましょう。事前に公衆電話の場所と使い方を確認しておくことも大切です。また、鍵を忘れたときや、親が予定通りに帰れないときにどこで待つかも、あらかじめ決めておきましょう」(天野さん)

【図表1】いざというときにできること