早稲田と慶應の両方に合格した人は、どちらに進学しているのか。受験評論家の伊藤滉一郎さんは「直近20年は慶應に進学する人が多かったが、ここ数年で早稲田が完全に逆転した。慶應が強みとしてきた就職力が、学生にとって“古く見え始めた”のではないか」という――。
慶應ブランドの崩壊が始まった
「早稲田と慶應の両方に受かったら、慶應に行くものだ」
現在40代以上の親世代には、いまだにそう信じている人が少なくない。
バブル期以降、慶應義塾大学は洗練された都会的イメージと強力な就職実績を武器に、早稲田大学より格上であるかのように扱われてきた。早稲田が泥臭い、バンカラの気質を残す大衆大学なら、慶應は選ばれたエリートの大学。そんなパブリックイメージの中で語られてきた。
しかし、そのイメージは過去のものかもしれない。東進ハイスクールを運営するナガセの2026年調査によると、早慶の双方に合格した受験生の進学先(大学全体)は、早稲田58.0%、慶應42.0%となった。2018年には早稲田28.5%、慶應71.5%だったため、わずか8年間で完全に逆転したことになる。
学部別に見ると、慶應にとってはさらに残酷である。法、商、文、理工など同系統の9組を比較したところ、2018年には早稲田の1勝8敗だったものが、2026年には9勝0敗となった。早稲田による完全試合である。慶應最後の砦だった法学部同士の対決でも、早稲田法が調査開始から初めて慶應法を上回った。
早稲田政経と慶應法では早稲田政経が100%、慶應経済との比較でも90%を獲得している。対象人数は限られるという前置きは必要だが、全体として慶應が急速に選ばれなくなっている事実は否定できない。




