わが子を東大・京大などの超難関大学に入れるには、どうすればいいのか。受験・学歴研究家の伊藤滉一郎さんは「名門高と呼ばれる高校を目指すのが大前提だ。2025年の東大・京大合格者全体のうち、これらの高校が占める割合は7割以上だった」という――。
東大の前期日程入試の合格発表で、掲示板の番号を指さす受験生=2019年3月10日日午後、東京都文京区
写真提供=共同通信社
東大の前期日程入試の合格発表で、掲示板の番号を指さす受験生=2019年3月10日午後、東京都文京区

進学実績では難関中高一貫校の圧勝だが…

子育てにおいて大学受験は代表的な悩みの一つだ。いまだに卒業大学を事実上の最終学歴とみなす風潮は根強く、就職活動やその後の人生にまで影響を及ぼすことも珍しくない。

一昔前ならば、旧帝大・早慶以上のレベルの大学(難関大)を志向するハイレベル層は、確実性を求めて難関中高一貫校を目指すパターンが主流であった。しかし、現在は公立トップ高校を経由するルートも存在感を増している。そこで、本稿ではそれぞれのルートについて、深掘りしていきたい。

まず、東大・京大、国公立医学部医学科(超難関大)への合格実績では、中高一貫校(私立・国公立の併設型一貫校および中等教育学校)が大きくリードしている。2025年に東大+京大で10人以上の合格者を輩出した高校のうち、現役・浪人の内訳が明示された全国の名門123校の進学実績を集計したのが図表1である。東大・京大、国公立医学科とも総合格者数・現役比率ともに、中高一貫校が大きく上回っている。単純に東大・京大への進学をゴールとするならば、今でも最短ルートは難関中高一貫校だ。

【図表1】全国の名門123校における合格実績

ただし、このデータは教員や生徒の能力差を示すものではなく、大学受験対策に投入できる時間構造の違いによる影響も大きい。中高一貫校では高校受験が存在しないため、6年間を通じて大学受験を見据えた学習設計が可能となる。つまずきやすい高校課程で演習時間を確保しやすく、序盤で出遅れても挽回余地が大きい。一方、公立トップ校では高校受験という大きな節目があり、大学受験に集中できる期間が短いため一度脱落すると挽回は難しい。合格者数や現役合格率には、この構造的差異が表れている可能性が高い。

「日比谷」「北野」公立トップ躍進のワケ

中高一貫校を取り巻く環境は大きく変化している。中学受験率は全国的に増加トレンドが続いており、2025年時点で首都圏では約18%、近畿圏でも約11%に達した。国公立の中等教育学校の新設も全国各地で進み、これまで公立高校の強さが際立っていた地域でも中高一貫校の新設が相次ぐ。

背景には、高校教育に求める役割の変化という政策的な事情がある。文部科学省は、学習ニーズ多様化への対応と卓越した人材育成の両立を掲げ、都道府県には特色ある高校を求めてきた。中高一貫教育の拡充は、その中で生徒の成長段階に応じた長期的な教育設計を可能にする制度として位置づけられている。

一方で見落とされがちなのが、公立トップ高校側の変化である。日比谷高校(東京都)は2010年代以降、進学指導重点校としての制度的支援を背景に、東大・京大への合格者数を急速に伸ばしてきた。同様に北野高校(大阪府)も、府の特色化政策や入試制度改革を追い風に、2010年代後半から京大合格者数を大きく伸ばしている。いずれも、従来の「公立=自由放任」型から脱却し、受験に必要な学習量・指導体制・進路支援を組織的に強化している。

中高一貫校の拡大と並行して、公立トップ校も躍進のステージに入ったといえそうだ。