大人が知らない子どもの苦しみとは何か。精神科医の松本俊彦さんは「思春期の子供はつらさが行動の変化や体の不調として出ることも少なくない。なかでも自傷は、その大事なサインのひとつである」という――。

※本稿は、松本俊彦『希死念慮と自傷のことがよくわかる本』(大和出版)の一部を再編集したものです。

絶望する孤独な女の子
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「消えたい」「死にたい」は思春期に起こりやすい

思春期は、心も体も大きく変わる時期です。つらいことがあると、ふと「消えたい」「死にたい」と思ってしまう子もいます。それ自体は特別なことではありませんが、軽く見てはいけません。

若い世代の自殺は、全世代の自殺者数のなかではそれほど大きくないものの、きわめて深刻な問題です。子どもは、家や学校など限られた世界のなかで生きています。大人には小さく見える出来事でも、本人には「もう終わりだ」と感じられることもあります。

なかには死生観が未熟な子どももいます。

中学生くらいだと「死んでもまた生まれ変われる」「死ねば人生リセットできる」と考えているケースもあるのです。

いずれにせよ、死を考える背景には孤立感や無価値感、強い怒り、苦しみが永遠に続くように感じることなど、複数の要因が重なっています。

「死にたい」と思うこと自体は特殊なことでもなんでもありません。