思春期は早めの気づきが大切
思春期〜青年期は、心の不調や精神疾患があらわれやすい時期です。けれども子どもは、自分の苦しさをうまく言葉にできないことがあります。
そのため、つらさが行動の変化や体の不調として出ることも少なくありません。なかでも自傷は、その大事なサインのひとつです。
自傷は、はじめて起こる時期としては思春期、とくに12〜13歳にもっとも多いとされ、海外でも同様の傾向が報告されています。子どもの自殺には強い衝動性があり、「もうダメだ」と思ってから行動に移るまでの時間が短いのが特徴です。
周囲が予兆に気づきにくいうえに、思春期の子どもは親に秘密をもつようになります。悩みがあっても親や先生には見えにくいものです。中高生の自傷経験は1割前後あるにもかかわらず、学校側が把握できていないことも多いとされています。
その一方で、適切なサポートが入れば踏みとどまりやすい側面もあります。10代で「死にたい」と考えた経験がある子は成人後の自殺リスクも高く、希死念慮は将来の自殺を予測する重要な危険因子になります。
こうした点からも、徴候が見られたら子どもに真摯に向き合い、話を聞く態度を示してあげてください。
自傷は自殺の危険を高める大切なサイン
長い目で見れば、自傷は自殺の危険を高める大切なサインです。ただし、自傷と自殺は、まったく同じものではありません。
すべての子が「いますぐ死にたい」と思って、自分を傷つける行為に及ぶわけではありません。実際に自殺を試みるとする場合には、致命的な手段が用いられることが多く見られます。
一方、自傷をくり返す人の方法は多岐にわたり、複数の方法をひとりの人が試すことも少なくありません。
1989年、米国の研究者ファヴァッツァとコンテリオは自傷をくり返す女性240名を調査しました。それによると、自傷には次のような特徴があるとされています。
・皮膚を切る行為(72%)を中心に、皮膚を焼く(35%)、自分を殴る(50%)といった方法が50回以上くり返される。78%以上が複数の方法で自傷を行っていた。
・自傷行為は、激しい不安、離人感、頭のなかで考えが暴走してしまうと感じるといった耐えがたい精神的苦痛を一時的にしずめるために行われ、衝動的に生じやすい。
・周囲の気を引くための芝居というより、本人にとってはその場を生き抜くための切実な対処である可能性が高い。


