30億円のつなぎ融資に新スポンサー探しも

増え続ける累積損失を短期間で縮小しようと目論んだ「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン=CJ機構)の川﨑憲一社長CEO(最高経営責任者)。その攻めの支援(出資)姿勢がとんでもない爆弾になりそうな案件がある。メディアから“マーケティングの神”と称されたマーケターの森岡毅氏率いるコンサルティング会社「刀」(大阪市北区)への80億円の出資だ。

刀の関連会社でテーマパーク「ジャングリア沖縄」(沖縄県名護市)を運営する「ジャパンエンターテイメント(JE)」の親会社は9月25日、26年6月期の最終赤字が173億円となったと公表。資金ショート寸前だったJE社には、政府系の沖縄振興開発金融公庫が単独で30億円のつなぎ融資を行った一方、JE社の融資銀行団は刀に代わるジャングリア沖縄の新たなスポンサーを模索している。

石破首相(中央右)と刀の森岡毅CEO(同左)ら
写真=共同通信社
「JUNGLIA OKINAWA」に関する記者会見で、記念写真に納まる石破首相(中央右)と刀の森岡毅CEO(同左)ら=2025年1月28日午後、東京都千代田区(肩書は当時)

2月末には刀自体が企画から運営まで手掛けた東京・お台場のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が開業からわずか2年で閉鎖を余儀なくされるなど、刀の財務状況に好転の兆しは見当たらない。

CJ機構を25年3月期に初の単年度黒字に導いた川﨑社長だが、総額140億円を出資したバイオ系スタートアップ企業「スパイバー」(山形県鶴岡市)の経営破綻に加え、刀までが経営危機に陥るようだと、同社長の立場は格段に厳しくなる。同機構の統廃合を検討中の経済産業省の有識者会議も、他ファンドと統合するか廃止の方向性を明確に打ち出さざるを得なくなることだろう。

きっかけは古巣からの勧誘?

CJ機構は22年9月、業績不振に陥っていた大阪市の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)の業績をV字回復させたと喧伝する森岡氏の刀に80億円の支援を決定した。その刀には20年1月、川﨑社長の出身母体の大和証券グループ本社が140億円を出資していた。同社関係者によると、これを推し進めたのは、当時専務執行役で次期社長の有力候補と目されていた荻野明彦・現社長CEOだったという。

「荻野社長と森岡氏は十数年来の友人関係と言われ、一緒に写った写真がたくさんある。ジャングリア沖縄開業時のイベントでも森岡氏とともにひな壇に並んでいます。大和の経営会議では当初、この出資に難色を示す向きが大半でしたが、荻野さんが強くこだわり、経営会議も『次期社長候補がそこまで言うのなら』と、荻野さんが再提出した出資案を承認したそうです」(前出の大和証券関係者)

新型コロナウイルス感染の第1波が収まった20年5月末以降、大和証券グループは取引先の企業や金融機関などに沖縄テーマパーク(現・ジャングリア沖縄)への出資を持ち掛けた。その一つが、19年6月から川﨑氏が総務・人事担当の専務執行役員に就任していたCJ機構だったとみられる。

「2人とも大和のドン、鈴木茂晴・同社元会長の人脈。荻野さんが人事担当の執行役員だった時期に、川﨑さんが大和企業投資社長という間柄でもあり、かなり親しかったはずです。その関係で荻野さんが、沖縄テーマパーク構想への出資を川﨑さんに持ち掛けたともっぱらの噂でした」(同)