ファンドとしての致命的欠陥
540億円の累積損失を抱え、今や他の官民ファンドとの統廃合が既定路線のように語られているCJ機構。失敗とされる要因は何だったのか。前出の経済部記者はこう分析する。
「CJ機構にはファンドとしての致命的な欠陥がありました。投資ファンドとは何よりも投資収益の成果をまず問われるものなのに、最初から政策目的という足かせが存在した。投資するのは民間が手を出そうとしない軟派の分野で、しかも損するのも儲け過ぎるのもダメ。そんなことはほぼ不可能です。投資の可否の最終決定権を委ねられた海外需要開拓委員会のメンバーには投資のプロがほとんどおらず、さらに投資分析を専門的に行う投資チームは機構運営の混乱もあって、ファンドマネージャーの質が次第に劣化していった。これでは上手くいくはずがありません」
この記者はさらにこう続ける。
「CJ機構は投資対象の範囲が広すぎました。百貨店とアニメは別世界、和食とファッションは全くの異分野で、限られた人員でこれらすべてをカバーして儲けろと言われても不可能です。『民間が取れないリスクを政府が担うこと』が機構設立の趣旨だったとはいえ、クールジャパンとされる事業の大半は軟派の分野。堅気の民間人が手を出さない“お水稼業”に、お堅いお役人が肩入れすること自体、そもそも荒唐無稽だったのです」
540億円という高い授業料
ではCJ機構はこれからどうすればいいのか。メガバンク取締役から転身したファンド経営者が次のように提言した。
「CJ機構はまだ数十件の継続案件を抱えており、廃止されればこうした案件が宙に浮いてしまうことになります。それではあまりに無責任。民間だけでは取りにくいリスクを国も負担するという理念を放棄してはいけません。機構には事業を完遂する責任がある。高市早苗自民党政権はコンテンツの海外展開を成長戦略の一つに据えています。これを成功させるためにCJ機構を活かさない手はありません。現在の540億円の累積損失を回収不能の費用と捉えるのではなく、CJ戦略の法外な授業料だったと捉えればよいのです」
有識者会議は年内にCJ機構の方向性を打ち出すとしている。安倍晋三元首相の後継者を自認する高市首相は、安倍政権の成長戦略を象徴する存在だった同機構を果たして存続させることができるのだろうか。
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