※本稿は、千船病院広報誌『虹くじら 06号』の一部を再編集したものです。
外科手術からお産まで手がける「やりがい」
吉田茂樹は千船病院に赴任したとき、「ここで理想の産婦人科を作ろう」と決意した。約20年間にわたる大学附属病院での経験で、それには3つの要件があると確信していた。
もともと、千船病院は周産期に強い医療機関だった。吉田が加わり、腹腔鏡手術・がん治療などの婦人科分野を強化した。彼の視線はその先を見ている。それは西淀川区唯一の総合病院としての責務だ。
吉田茂樹が産婦人科医となるきっかけは小学生時代にある。
「うちは母子家庭で、私が小学1年生のときに東大阪(市)でブティックを始めたんです。森英恵さん(デザインの洋服)などを扱っていました。そこには大阪のおばさま方が集まっていて、いろいろ可愛がってもらった。女性の力になりたいと思ったのが大きかったかもしれません」
中学校、高校は親元から離れて愛媛県松山市にある愛光学園に進んだ。男子校で毎日が修学旅行のようだったという。そして実家に近い神戸大学医学部に進んだ。卒業後は神戸大学医学部附属病院産婦人科に入局した。
「産婦人科医というのは入り口が女性。患者さんはそこで2分の1になります。ただ、そこから奥が狭くならないんです」
現在、産婦人科と一括りにされている診療科は、内部では産科と婦人科に分けられる。多くの人が産婦人科という言葉から連想するのは、前者の産科だろう。
産科は医学で最も古い分野である。女性の妊娠から出産、産後の母体と胎児を扱う。一方、婦人科は、妊娠・出産以外の女性特有の疾患、健康管理などを行う。その範囲は月経困難症、子宮筋腫、子宮内膜症、がんから、近年は女性ヘルスケア、更年期医療まで広い。
「整形外科ならば脊髄、肩、手、足などの専門領域に分かれます。産婦人科は、腹腔鏡、ロボット(支援)手術、帝王切開といった外科手術から、お産までをすべてやりますので、非常にやりがいがある」


