儲かる見込みのない立地

ただ当のCJ機構では当初から、沖縄テーマパークの成功を危ぶむ声が聞かれた。同機構で分野別に設けられた投資チームの元リーダーA氏が振り返る。

「そもそも立地条件、交通の便、キャラクターというテーマパーク成功の諸条件を何ら満たしていません。まず東京から現地までは飛行機と直行バスでたっぷり6時間はかかります。また、後背地人口は東京ディズニーリゾートの3500万人、USJの2000万人弱に対して、沖縄テーマパークはわずか80万人に過ぎません。それに自然が豊富な沖縄で、ゴルフ場跡地に俄かごしらえのテーマパークを観光客がわざわざ訪れるでしょうか。しかも沖縄は台風の通り道で、屋外の施設は一年の7割程度しか営業できません」

A氏はさらにこう続ける。

「沖縄の外から来る観光客の平均滞在日数は2泊3日から3泊4日。県北部のテーマパークで丸一日拘束され、翌日に近くの美ら海水族館で数時間費やせば、県南部に多数ある観光地を訪れる日数はせいぜい1日半。沖縄旅行でそんな計画を立てる人はいないでしょう。前述した条件も合わせると、沖縄テーマパークは端から儲かる見込みのない事業だったと断言できます」

嘉津宇岳から望むジャングリア沖縄
嘉津宇岳から望むジャングリア沖縄(写真=Kugel/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

古巣の出資で「安心」

こうした見解は川﨑社長も同じだったとみられる。なぜならCJ機構は大和証券と同様、沖縄テーマパークそのものではなく、刀に出資する道を選んでいるからだ。17年10月設立の刀は、丸亀製麺を展開する「トリドールホールディングス」(東京都渋谷区)のブランド再構築や、西武ゆうえんち(埼玉県所沢市)のリニューアルなど、世間の耳目を集めるプロジェクトをそれまでにいくつも手掛けていた。業績も20年11月期が2億5600万円の純利益、21年11月期も3億8500万円の純利益と順調だった。

「川﨑社長は『テーマパークは収益が上がるまでに時間がかかる。それよりもすでに手広く事業を展開している刀を支援する方が、はるかに安全で効率的』と考えている雰囲気でした。古巣の大和が先に140億円を出資していたので、CJ機構が出資しても安心と考えたのでしょうか」(別の投資グループの元リーダーB氏)

CJ機構元職員によると、この80億円の支援に関しては、最終決定機関の海外需要開拓委員会も構成メンバーのほぼ全員が賛成したという。委員にはパイオニア元社長の森谷浩一氏やカシオ元副社長の中村寛氏など、事業経営のプロが名を連ねていた。