※本稿は、黒木登志夫『高齢者よ、君たちはどう生きるか』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
「高齢者時代」は20年以上続く
65歳になり高齢者と呼ばれるようになっても、さらに20年かそれ以上生きるのだ(図表1)。
※1 厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」
収入は減っていて、月に一度くらいは病院に通っているかもしれないが、これまで十分働いてきたのだから、ゆっくりとのんびりと暮らしてほしいと思う。とはいえ、現役のときと比べればストレスも少ないだろうが、いつまでも苦労が絶えないのが人生というものだ。お金は現役のときよりも苦しい。それに、生活の場でも危険がいっぱい待ち構えている。
骨折、火事、「オレオレ詐欺」、熱中症などなど、被害者の大半は高齢者である。高齢者は、注意に注意を重ねて、安全な生活を送ろう。高齢者だからといって縮こまって生きていたのでは、余りにもったいない。金がなくとも時間はあるのだ。
近場に足を運び、自然に親しもう。日本国内にも行ったことのないところがいっぱいあるはずだ。ツアーに参加してでもよい、国内を見尽くそう。ときには奮発して外国に旅行する。映画を見る時間もできた。新しい映画もよいが、昔見た映画を見直すのもよい。
高齢期にこそ続けたい年賀状
小津安二郎のよさは歳をとらないと分からない。NHK BSの映画番組は、高齢者を意識してか、昔の映画を放送してくれる。アメリカ先住民を悪役にした昔ながらの西部劇も見られる。合唱や、句会に参加するのもよい。音楽会、美術館、映画など半日で楽しめることがたくさんある。
新しい小説にチャレンジするのもよい。私は70歳代のとき、1年かけて、村上春樹の小説をほとんど読んだ。今でも、読みたい小説はたくさんあるが、問題は少し読むと直ぐに眠くなることだ。歳をとったら、家の中をきれいにするのも大事だ。きれいか、散らかっているかで、心のもちようが変わってくる。
物がありすぎたら、思い切って捨てる。部屋にいつも花を絶やさないくらいの余裕はほしい。食事にも手をかけ、美味しいものを食べよう。ときには、友人、趣味の仲間と食事してお酒を楽しむ。人とつながっていることは大切だ。コンビニ弁当が毎日とならないようにしてほしい。年賀状じまいをする人も多い。私も一時その気になって、そのような賀状を出したことがあった。
しかし、考えてみると、高齢者になってからのほうが年賀状をもらうのが嬉しい。後期、長老高齢者になったら、年賀状は生存証明にもなる。私は年賀状を「最期」まで続けることにした(私の年賀状は面白いと、意外に人気がある)。
もう一つ大事なことがある。

