免許返納後、田舎暮らしは難しくなる
マンションだと、管理組合が計画にしたがって掃除をし、修繕もしてくれる。雪が降れば、管理人が除雪をしてくれる。大規模修理のためのお金も積み立てている。一戸建てだと、すべて自分でやらねばならない。
地方で開業医をしていた私の友人は、80歳を過ぎてから診療所を閉鎖して、都心のマンションに引っ越して、優雅に暮らしている。一軒家であれば、物を置くスペースがたくさんある。それに引っ越しをすることが少ない。30年50年と住み続けていると、当然、物が多くなる。高齢者にとって住まいのサイズダウンは大変な作業になる。
豊かな自然の中で生活するのは、憧れである。しかし、皮肉なことに、自然に囲まれて暮らすためには、文明の利器である車が必要になる。年寄りから車を取り上げることに熱心な世論に負けて、免許証を返納したら、結局都会でしか生活ができないことになる。
都会の生活は、高齢者にとってメリットが多い。交通機関が整っているし、買い物にも行きやすい。
一番重要なのは「医療機関へのアクセス」
高齢者にとって、特に重要なのは、医療機関へのアクセスだ。斉藤弥生の調査によると前期高齢者の49%、後期高齢者の63%が月に1回以上、医療機関に通っているという。私の個人的経験では、特に高齢になったら、一戸建てよりもマンションのほうが安心だし、生活がしやすいと思う。
カギ一つで出かけられるし、入り口は一つしかないので、泥棒に対しても安全である。マンション暮らし半世紀の私としては、高齢になったらマンション生活を勧めたい。しかし、マンション生活にも問題がある。
管理費や修繕積立金など、毎月必ず出ていく固定費にお金がかかるし、何よりも孤立しやすいことが危険だ。挨拶くらいはするものの、同じ階であっても名前も知らない。
近所付き合いがないので、気楽という人がいるかもしれないが、高齢者にとって、孤独、孤立は大きな問題である。
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