客からは見えないコンビニ店員の苦労
コンビニで働く外国人スタッフは、いまや珍しい存在ではありません。共同通信が2024年5月に報じた集計では、大手3社だけで外国人アルバイトは8万人を超えています。スタッフの8割が外国人だという店の事例もあり、店長を任される人たちもいます。
ただ、採用した人に仕事を覚えてもらい、店を任せられるようになるまでには、時間がかかります。
コンビニには、日本の暮らしに関わるさまざまな商品やサービスが集まっています。レジや品出しだけでなく、公共料金の支払い、宅配便の受付、調理、商品管理。言葉や生活習慣の違いもある中で、オーナーはどう教え、どこまで任せればよいのでしょうか。
筆者の新著『店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。』に登場する、50歳で百貨店を辞め、コンビニオーナーになった坂本哲郎さんも、悩みながら、その方法を探してきた一人です。本稿では、書籍の中にも出てくる、実話をもとに描いた場面を紹介します。
外国人5人採用で救われたと思ったが…
坂本さんが経営する港区の店は、慢性的な人手不足に苦しんでいました。求人を出しても応募が来ず、採用しても長続きしない。シフトの穴を埋めるのは、いつも坂本さん夫婦でした。
昼食が夕方になる日もあった。深夜二時にカップ麺をすすり、バックルームに段ボールを敷いて寝て、そのまま朝を迎えたこともある。店は、どうにか回っていた。だが、それは坂本が無理やり回しているからにすぎなかった。自分が止まれば、店も止まる。そんな状態だった。
『店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。』より引用(以下、引用はすべて著書から)
そこで坂本さんは、日本語学校を訪ねました。妻や外国人スタッフと撮った写真を載せた求人ポスターを、学校の掲示板に貼ってもらったのです。
すでに外国人が働いていると分かる写真は、応募を考える学生にとって、安心材料になったのでしょう。電話が入り始め、最終的に中国人2人、ネパール人2人、韓国人1人を採用しました。
坂本さんはゆっくり話し、レジで使う言葉を紙に書き、声に出して練習させました。彼らもメモを取り、繰り返し練習しました。シフトの空白が減り、店はようやく落ち着きを取り戻し始めていました。
ところが、採用から1カ月ほどたった時、棚卸しで異常が見つかります。

