企業向け金融教育を行っている勢口真理さんは、52歳となった今、シングルマザーのまま億単位の資産形成に近づいている。ただ、数年前まで、彼女はかつて家電量販店の一パート勤務で、子供2人との生計をなんとか立てるシングルマザーだった。そんな窮状をいかにして脱したのか。勢口さんの実体験を紹介する――。(第3回)

※勢口真理『シングルマザー 億り人になる』(プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。

名刺交換
写真=iStock.com/Pavliha
※写真はイメージです

「高いもの」よりも「いいもの」を売る

時給1400円の募集広告を見て始めた家電量販店のパート勤務。子ども2人を抱えて必死で働く毎日でした。先に光の見えない、真っ暗なトンネルの中にいたようなものです。

でも、振り返ればその8年間で学んだことはとても大きかったと思います。1日8時間勤務で平均30人接客したとして、8年間に延べ約6万人の接客をしてきたことになります。そんな中で、外資系生命保険に転職し、年収3000万円超を得るくらいの営業の力が、知らず知らずのうちに培われていたんです。

そこで得たことを、いくつか思い出してお話ししたいと思います。

毎日売り場に立っているうち、次第に売り方を自分で考えるようになっていきました。例えば、同じメーカーの掃除機にも松・竹・梅がありますから、高いほうが売れれば自分の業績は上がります。でも、「高いもの」よりも「いいもの」を売ったほういいですよね。私にはそういう価値観が強くありました。嘘がつけないというか。

もちろん、高くていっぱい機能がついているいいものもありますけど、それとは関係なく、お客様には値段よりも「いいもの」をお勧めするように心がけました。もちろん、お客様が結局別のほうを選ぶこともありますけど。

名刺を渡す際のひと言が大事

私が最もこだわっていたのは、いかにしてリピーターをつくれるかっていうことでした。一度の接客で、お客様に「検討します」などと先送りされずに、いかにいいものをその場で買っていただくか。

そのために、私はお客様に必ず名刺をお渡ししていました。お渡しして、「また来てくださいね、私宛てに」と一言。このワンプッシュが大事なんです。

「いついる?」と聞かれる前に、名刺の裏に自分の出勤日を書いて渡したり、「いや、今日は買えないんだけど」という人には、お勧めした商品名と「◯日と◯日ならいます」という日付を書いて渡して、「必ずこれを持ってきてくださいね」と伝えます。

そういうお客様が、後でほんとに来てくれるんですよ、名刺を持って。万が一私が不在のとき、代わりに対応した店員に「勢口さんに勧めてもらったこれが欲しいんだけど」と言って名刺を出してくれます。その場合、代わりに対応した店員がいい人だったら、買っていただけたときに私の番号でレジ打ちして、私の業績にカウントしてくれます。