真夏を過ぎて朝夕が涼しくなった季節でも、熱中症は起こる。東洋大学教授の加藤和則さんは「熱中症は自律神経、炎症、脱水という3つの経路から起きる。この3つに気を付けないと、当日にこまめに水分補給したとしても『かくれ熱中症』になってしまう」という――。

※本稿は、加藤和則『血管細胞を強くすれば熱中症は予防できる─熱中症やヒートショックに強い身体に変える3つの成分─』(プレジデント社)の一部を再編集し、学術論文の知見を加えて構成したものです。

ビールを手に微笑む麦わら帽子をかぶった男性
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熱中症は「前日」から始まっている

一時期の酷暑は過ぎ去ったものの、まだまだ油断できない熱中症。今年9月の最終週、28日~30日の3日間だけでも73名の人が熱中症で救急搬送されています。これまでの統計を見るに、寒暖差の激しい季節になっても一定数の発症者が出ています(総務省消防庁の統計より)。

東京では10月に入っても日中の最高気温が25度を超える日もあり、熱中症には引き続き注意が必要です。

熱中症対策といえば「こまめな水分と塩分」が定番です。しかし、当日どれだけ気をつけても、前日からの過ごし方でリスクの土台が決まってしまうことがあります。

睡眠不足、疲労、そして飲酒。「寝不足だと夏バテがひどい」「疲れていると熱中症になりやすい」「飲んだ翌日に倒れやすい」という経験則は、単なる俗説ではありません。

これらは、自律神経・炎症・脱水という3つの経路から、生命科学的に説明できるものなのです。

労働現場のデータもこれを裏づけます。大阪市の大規模建築現場の作業員を対象にした調査でも、前日の睡眠不足や多量の飲酒が熱中症の発症に影響することが指摘されています(角田ほか,2024)。

ちなみに、業種別に見ると熱中症による死傷者は建設業が最も多く、その大半が7〜8月に集中しています。本稿では、涼しいと感じる季節でも起きてしまう「熱中症」を防ぐために、とくに避けたい「行動ワースト3」を挙げておきましょう。