人間との間で感情的なつながりを持つAIサービス「AIコンパニオン」の利用が、とりわけ若年層において急速に進んでいる。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんは「生成AIは、単なる道具ではなく、擬似的な対話主体として人間に認識され始めている。この点にこそ、AIの本質がある」という――。(第5回/全5回)

※本稿は、野口悠紀雄『AIは最強の味方で、最悪の敵』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

若者の6割が「親友はAI」

AIとの信頼関係に関する電通の調査結果によると、対話型AIを週1回以上使用している人は、20.7%。世代別では、10代(41.9%)が最も多く、20代が28.7%だ(*)。

*「対話型AIとの関係性に関する意識調査」、電通、2025年7月3日

対話型AIに求めていることは、「自分が知らないことを教えてほしい」(46.6%)、「アイデアを出してほしい」(42.8%)など。10代では「心の支えになってほしい」「話し相手になってほしい」などが全体より5ポイント以上高く、情緒的な価値を対話型AIに求めている。

これを見ると、生成AIとの感情共有現象は、とくに若い世代において顕著であることが分かる。「対話型AI」に感情を共有できる人は64.9%で、「親友」(64.6%)、「母」(62.7%)より高くなっている。

私は、AIと共感することそれ自体に問題はないと考えている。しかし、AIとの会話にのめり込んでしまって、他の人間とのコミュニケーションが減るような事態になれば、危険信号だ。

そのバランスを適切に取ることは、若年者世代だけではなく、すべての世代の人々にとって必要とされることだ。とくに、話し相手が少なくなっている高齢者にとっては重要だ。

ハートを組み立てるロボットアームと人間の手
写真=iStock.com/SvetaZi
※写真はイメージです

人間と感情的につながるAIコンパニオン

人間との間で感情的なつながりを持つAIのモデルが、実際に開発されている。

これは「AIコンパニオン」と呼ばれるものだ。AIが人間の相談や悩みに答える。若者の間で利用が広がっている。

アメリカの調査会社アップフィギュアズ(Appfigures)社によると、AIコンパニオンアプリへの2024年の課金額は世界で5500万ドル(約81億円)に上り、前年の6.5倍に増えた。2024年の総ダウンロード数は1億1800万回で、利用者の65%を18〜24歳が占めている(*)。

*「AIコンパニオン」、日本経済新聞、2025年9月15日 時事ドットコムニュース、2025年7月17日

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