出費を正当化してあげる

気づいたのは、人は自分が買ったものを承認されると嬉しいんだなあ、ということ。「いいものが買えましたね」というひと言でお客様は安心して帰られるんです。私自身もそうですけど。自ら選択したものを肯定されると、人って嬉しいんですよ。正当化して欲しいんです、自分の出費を。

誰だって気持ちよく買い物をしたい。ですから、たぶんそれを求めてまたリピートしていただけるんだと思います。

高いものを買う方は、人によってはドキドキしながら買うし、買った後も「ほんとにこれでよかったのかな……」というザワザワしたものを抱えているものです。私はお客様にそういうザワザワを持って帰って欲しくないから、必ずその商品を褒めることにしていました。

「あ、やっぱりこれでよかったんだ」というすがすがしい気持ちで帰って欲しい。そういう買い物をして欲しいという気持ちでした。

こうして全社の上位5%「エース」と呼ばれるポジションに上がる頃には、時給は2400円まで上がっていました。

気づかぬうちに身に付いた「宝」

長男が中学に、長女が小5に上がった頃、外資系生命保険会社で採用活動をしているマネージャーという人から連絡がきました。昔、勤めていた会社の先輩でした。SNSで私を見つけた先輩は「今どうしてる? 是非話を聞きにこないか?」と、保険会社に私を招待したのです。

勢口真理『シングルマザー 億り人になる』(プレジデント社)
勢口真理『シングルマザー 億り人になる』(プレジデント社)

支社長という人が会社のミッションなどを話したりする構成で3回にわたって聞くとのこと。

1回目を聞いた時から私は「これだ! ぜひやりたい」という気持ちが湧いて、とんとん拍子に転職が決まりました。私は43歳になっていました。

後でわかったことですが、誰でもが入社できるわけではなく、当時の条件「大卒・家庭を持っている・生命保険以外の業界」を私はクリアしていたことと、適性検査の結果のフィードバックを受けての「採用」でした。

個人事業主としての独立心や胆力の有無、過去の成功体験や失敗体験の捉え方などという観点でも見られていたようです。

何より、延べ6万人の購買心理を経験する中で、洞察力、傾聴力、コンサル力、クロージング力といった、セールスに欠かせないコミュニケーション能力が体に沁みついて、盤石の力になっていたんだと思っています。

(構成=西川修一)