気持ちが落ち込んだときにはどうすればいいのか。精神科医の樺沢紫苑さんは「寝る前の過ごし方を見直してみるといい。たった3行のことをメモするだけで、自己効力感が高まり、行動をポジティブな方向に導くことができる」という――。

※本稿は、樺沢紫苑『AI時代に不可欠な力 知性大全』(サンクチュアリ出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

「1日3時間」で抑うつリスクが増加

SNSが青少年のメンタルに悪影響をおよぼしています。

1日3時間以上のSNS利用で、抑うつ、不安のリスクが2.5〜2.8倍に増加します(※1)。

1日5時間以上の利用で、自殺関連リスクが約60%増加します(※2)。

特にSNSの利用が多い女子で、その影響は深刻です。

SNSがメンタルに悪い最大の理由は、「比較」にあります。「SNS比較症候群」という言葉があります。InstagramやXなどで他人のキラキラした生活や成功体験と、自分の日常を無意識に比較し、劣等感や不安、焦り、自己否定が強まる状態です。

SNSは、他人の成功、成果、美貌、充実した日常を、絶え間なく見せ続けます。私たちは無意識に、自分と他人を比べ、「自分は劣っている」と感じ、自己肯定感を下げるのです。

心理学者のレオン・フェスティンガーの「社会的比較理論」によれば、人は他者との比較によって自己評価を行います。

比較には2種類あります。ひとつは「上方比較」。自分より上に見える人と比べることです。刺激にもなりますが、自己否定につながりやすい。

もうひとつは「下方比較」。自分より下に見える人と比べることです。一時的な安心は得られますが、成長は止まりやすい。

SNSは構造上、成功例やハイライトばかりが表示されます。つまり、ほぼ強制的に「上方比較」をさせる設計になっているのです。

「SNSの利用時間を減らしましょう」といっても「無理です」という人が多い。そこで、SNSの毒を減らすためには、「比較モード」から脱することが必要です。

※1 Riehm KE et al. Associations between time spent using social media and internalizing and externalizing problems among US youth. JAMA Psychiatry, 76(12), 1266-1273. (2019) DOI:10.1001 / jamapsychiatry.2019.2325
※2 Rothwell (2023), Institute for Family Studies (IFS) / Gallup調査分析“How Parenting and Self-Control Mediate the Link Between Social Media Use and Youth Mental Health”

SNSの毒を薄める方法

SNSの「編集性」を理解してください。

SNSに投稿されているのは「人生のベストショット」です。

いちばんきれいに撮れた写真を、さらに加工して投稿する。それは、盛りに盛った写真です。最近食べた、映えるスイーツの投稿。それはSNS用で、そんなのを毎日食べているわけではないのです。

「これは広告と同じ。演出された商品画像だ」と認識するだけで、比較の毒はかなり薄まります。

どうしても比較がやめられない場合は、比較対象を「他人」から「過去の自分」に切り替えましょう。他人の「いいね!」数やフォロワー数と、自分の数字を比べても意味がありません。自分よりも数字が大きい人は、必ずいます。

昨日の自分の投稿と比べて、今日は「いいね!」が多い! 1カ月前と比べると、フォロワー数が20人増えている!「過去の自分」と比べて、自分の成長を喜ぶ。そうすれば、自己肯定感が高まります。

他人と比較する暇があるのなら、もっと知性サイクルを回して、自分が大きく成長すればいいのです。