福岡県議会が揺れている。議会の議長ポストを巡る総額2000万円もの金銭授受疑惑や、過去3年で総額2億8000万円にものぼる県議の海外視察費など「政治とカネ」の問題が噴出している。福岡で何が起きているのか。知られざる県議会の内部事情を、ノンフィクションライターの勢野進さんがリポートする――。(前編/全2回)
議員辞職願を提出し、記者会見する福岡県議会の中尾正幸副議長=2026年7月24日午後、福岡市
写真=共同通信社
議員辞職願を提出し、記者会見する福岡県議会の中尾正幸副議長=2026年7月24日午後、福岡市

福岡県議会の闇過ぎる「政治とカネ」の構造

福岡県議会の正副議長ポストをめぐり、就任と引き換えに現金が渡っていた――。その疑惑の渦中で、中尾正幸副議長が7月24日、議員を辞職した。

現金の支払先として名指しされ、本人のものとされる音声データまで示された末の辞職だった。会見で中尾氏は、県政の混乱を招いた責任に触れる一方、金銭の授受については「絶対にない」と否定した。県民への詫びは口にしたものの、疑惑が晴れたわけではない。今後は第三者委員会を設置するのか、解明が進まなければ県議会の解散論も浮上しかねない。

告発された金額は総額で2000万円超。しかも一度きりではなく、議長・副議長が代わるたびに繰り返されてきた“慣例”だとする証言まで飛び出している。永田町を揺るがせた「政治とカネ」の、いわば福岡県版だ。

なぜ福岡県議会に、これほどのカネの構造が生まれたのか。そしてなぜ、それが今になって噴き出したのか。また、県政関係者の間で囁かれている「一連の暴露は、自民党県議団を追われたベテラン県議が裏で描いた絵ではないのか」という見立てについても解いていきたい。