職場の人間関係が良くないとき、どうすれば自分の身を守れるのか。15年以上にわたり産業医として面談を続けてきた武神健之さんは「同じ職場でも、人間関係に悩んで心身を大きく崩してしまう人もいれば、淡々と働き続けられる人もいる。後者の人は2つの力を持っている」という――。
人間関係が悪い職場もあるのが現実
こんにちは。産業医の武神です。15年以上にわたり産業医をしています。その経験から誤解を恐れずに言えば、必ずしも全ての職場が素晴らしい“快適職場”ではありません。同じ会社の複数の社員の話を統合すると、人間関係がドロドロと思われる職場があるのも現実です。
そのような職場で人間関係に悩み、疲れ、心身を大きく崩してしまう人もいます。しかし、同じ職場でも、「しんどい」と言いながら、淡々と働き続けられる人もいます。今月は、人間関係がドロドロな職場でも、元気に働き続けることができている人たちの共通点についてお話ししたいと思います。
距離を調整する能力
結論から言うと、このような人たちは、人間関係を良くする力が高いわけではありません。多くの場合、その職場の人間関係を良くすることに、本人も過去に相当努力していて、今はもう「諦めの境地」にいます。
この人たちが優れているのは別の能力です。それは、悪い人間関係との距離を調整する能力です。適切な距離を調整することにより、自分の人生や価値に会社のドロドロを影響させないか、たとえ影響されてもすぐに切り離せるのでしょう。また、会社以外の世界を持っていることも共通しています。自分の幸福を会社に預けていないのです。
距離を調整する能力は、分解すると、①切り替える能力(バウンダリー、精神的自立心)と②回復力と言えるでしょう。この2つの能力は具体的に以下の習慣から構成されていると思います。
私が経験したケースを紹介しながら、詳しく見ていきましょう。

