「こうなったら転職」判断基準を持つ
さまざまなアンケートにおいて、働く人の感じる職場のストレスのトップ3には、必ず人間関係のストレスが入っています。職場における人間関係ストレスは、どちらかが辞めない限りずっと続くという特徴もあります。
苦手な人への、「あの発言はどういう意味だったのか」「明日は何を言われるのだろう」と考え続けてしまう反芻(rumination)が、帰宅後も続けば、ダメージを長時間化させる要因になります。仮に職場で1分間にも満たない会話だったとしても、帰宅後に5時間考え続ければ、脳にとっては5時間分のストレスにさらされ続けていることになるのです。
しかし、相手は変わってくれません。変えられるのは自分だけです。切り替える能力とは、嫌なことを忘れる能力というより、ネガティブに考える時間をこれ以上延長しない能力だとも言えるでしょう。
グダグダ職場でも健康的に働けている人は、場所を切り替える能力に加えて、「これは自分の努力で対応できる範囲だ」「ここから先は上司に相談しよう」「それでも変わらなければ異動を相談しよう」「そこまでいけば転職も検討しよう」という段階を、あらかじめ自分の中に持っていることも多いです。
移動希望や転職などの出口が見えないと感じたとき、人は無力感に陥りやすくなってしまうのです。だからこそ、いざとなれば辞められる/やめてもいいと思えている人ほど、今の職場で安定して働けることが少なくありません。
セルフケアと組織による環境改善
もちろん、職場のドロドロした人間関係は、悪い状態を放置したまま「本人の切り替え能力の問題」として片付けていいという話では決してありません。WHOのガイドラインでも、労働者たちが健康に働くために組織が取り除くべき心理社会的リスクとして、過重労働、裁量権の低さ、支援の不足、ハラスメントや暴力などは明確に挙げられています。
Aさんのケースでも、本人の努力だけではなく、上司が業務ルールの調整に応じてくれたことも実を結びました。本人のセルフケアと、組織による環境改善は、どちらか一方ではなく、両輪として機能して初めて意味を持ちます。
いかがでしょうか。職場の人間関係を良くしようと頑張ったものの効果がなかったけれども、淡々と働き続けられる人たちの共通点について述べさせていただきました。
それは、頭の切り替えとして、起こった事と自分の解釈を混同しないこと。人間関係を良くしようとするより、悪くても仕事が回る状態をつくること。場所の切り替えとして退社後は頭の中でも仕事から離れる「心理的離脱」を実践すること。そして、会社以外の自分という回復の場も持つこと。つまり、会社以外に自分の世界を持ち、話せる相談相手を確保しておくことです。
以上、今月の話もあなたのお役に立てば幸いです。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


