毎晩の「ノート」で変化したこと
数年前に経験した事例です。30代半ば、独身のAさんは、転職から2年ほど経ったところで、半年前の組織変更で所属部門が変わったことをきっかけに、チームの人間関係に悩むようになりました。睡眠は6時間以上とれており、遅刻もなく仕事もきちんとこなせていましたが、週末に一人になると、どうしても翌週のことを考えて気分が塞いでしまうと話してくれました。
心療内科などへの受診が必要なほどは悪くなかっため、私はカウンセリングを勧め、彼女は会社の福利厚生で翌週からカウンセリングを利用し始めました。
彼女はその後も産業医面談に定期的に来てくれていました。そして、彼女はカウンセラーから勧められた方法を教えてくれました。
毎晩ノートに、その日職場であった嫌な出来事という「事実」と、その時自分はどう感じたかなどの「感情」、さらに「他の人ならどう捉えるだろうか」という第三者の視点を、並べて書くというものです。これを続けるうちに、自分の受け止め方だけが唯一の捉え方ではない、同じ事実があってもさほど気にも留めない人もいると気づいたと教えてくれました。
趣味の和太鼓を再開
それでも、どうしても合わない同僚のBさんへの苦手意識やストレスは、なかなか変わりませんでした。どんなにカウンセリングを受けても、「Bさんと仕事をすること自体が嫌だ」という気持ちからは抜け出せずにいたのです。
そこで私は彼女に、「仲良くなれなくても、業務が回るには具体的にどのようなルールが必要か」と尋ねました。答えが具体的であればあるほど、上司や周囲も協力しやすくなる、と付け加えて。
彼女は真面目にこれに取り組み、上司に相談したところ、AさんとBさんの間で業務上のルールを設け、役割分担を明確化して整理してもらえました。現在も二人は仲良しではありませんが、業務は滞りなく進むようになり、ストレスは大きく減ったといいます。
さらにAさんは、転職後に忙しさから距離が遠のいていた趣味の和太鼓を、カウンセラーの勧めで再開しました。太鼓自体が気分転換になるだけでなく、教室の仲間との会話や、練習後の食事の場で会社の愚痴を少し言っているそうです。「会社で何かあったとしても、自分にはこの仲間がいる」。そう思えるようになってから、少しずつ眠れるようになったと教えてくれました。

