告発の目的は「ドン」を倒すためか
地元記者はこのように話す。
「中村さんは海外視察に30年も参加していません。ただ吉松さんはハワイに県議幹部と同行したこともあり、その実態を熟知しています。海外視察問題で県連への非難が集中し、機が熟した時に『正副議長就任時の金銭授受』を、常態化した慣例のように印象づけて追及する。これが見事にはまりました。永田町でさんざん叩かれた“政治とカネ”の福岡県版です。作戦だとすれば、たいしたものです」
もっとも、今回、中村氏自身は声を上げてはいない。後見人を自負する高島市長の選挙は別として、武内市長の選挙でも、先述した9区の支部長を巡り大家氏と三原氏が争った時も、表立った動きは見せなかった。今回もマスコミが取材を試みたが、拒まれたようだ。
それでも、暴露した吉松氏と江藤氏が中村氏に近いことから、中村氏が裏で絵を描いたのではないか、と県政関係者の中で囁かれている。彼らによれば、その動機は藏内勇夫県議への激しい対抗心だという。藏内県議は「県議会のドン」の異名をとる人物だ。中村氏は、自らの追放に藏内氏の意向が働いたと見ているという。
吉松氏と江藤氏が突如、カネの話を暴露したのはなぜか。中村氏の関与は不明ながら、狙いはおそらく藏内氏を倒すことではないか。今の自民党県議団を作り上げてきたのは、ほかならぬ藏内氏だ。県議団の悪しき慣習をぶち壊すことは、藏内氏を潰すことと同義である。
金銭授受疑惑や海外視察問題の騒動の背後にいる「県議会のドン」藏内氏とは何者か。後編では藏内氏がなぜ県議会で力を得たのかについて迫る。


