冬眠シーズンが明け、各地でクマによる事故が相次いでいる。クマに遭遇したらどうすればいいのか。クマ問題を取材する中野タツヤさんは「『死んだフリ』が有効という説があるが、やり方を間違えるとむしろ逆効果だ。例えば去年、中国・甘粛省で起きた事件が参考になる」という――。
クマに背中を向けて逃げてはいけない
もし、不運にもどこかでクマに出会ってしまった場合、どうすればいいのだろうか。
俗にクマに会ったら「死んだフリ」をしろとも言われる。だが、猛獣の前で「死んだフリ」をするのは、戦いを放棄し、自由に攻撃してくださいと言うに等しいのではないのだろうか。
東京都環境局のHPでは、クマに襲われた場合の対処法について、次のように解説している(図表1)。
この対処法は、クマとの距離によって3段階にわかれている。
まず、「①クマが遠くにいる場合」は、「そっとその場を離れる」。
次に、「②クマが近くにいた場合」は、「背中を見せず、落ち着いて、ゆっくり後ずさりしてその場を離れる」。
最後に「③クマに襲われた場合」は、「うつ伏せになって丸まり、組んだ両手で首の後ろ側を、両ヒジで顔をガード」。
なぜ3段階に分かれているのだろうか。
簡単に解説すると、まず、クマは人間を見かけても、積極的に襲ってくることはまれだ。人間を襲ってくるのは、急に遭遇して身を守るための「クマ側の防衛反応」がほとんどだとされている。
そのため、クマを見つけても、十分な距離がある場合は、お互いそっと離れることが可能だと考えられる。
一方、近距離で遭遇した場合、クマに背中を向けると襲ってくる習性があるため、慌てて逃げようとしてクマに背中を向けるのはむしろ危険である。
クマから目をそらさず、じっと見ながら、後ずさりして安全な距離まで離れることで危険を回避できるとされている。


