病院での延命治療は、いざ重病になったり、緊急搬送されたりしてからでは受けるかどうか慌てて判断することになる。在宅患者を2000人以上看取ってきた医師の萬田緑平さんは「大学病院の外科に勤めていた経験から、自分だったら受けないと思う治療がいくつかある」という――。
医師の萬田緑平氏、2026年6月、群馬県前橋市の萬田診療所にて
撮影=プレジデントオンライン編集部
医師の萬田緑平氏、2026年6月、群馬県前橋市の萬田診療所にて

「延命治療」とは具体的に何か

いつか自分が病気になって、回復が見込めない状態になったら、「延命治療はしないでほしい」と家族に伝えている人は多いのではないかと思います。その際、あなたが考えている“しないでほしい延命治療”とは具体的にどんな治療でしょうか。たとえば、口から飲んだり食べたりできなくなったとき、胃ろうや経鼻胃管けいびいかんにするのは嫌でも、点滴なら受けたいですか?

病院の点滴
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延命治療の目的は生命の維持ですから、言ってしまえば、すべての治療は延命治療です。薬を1錠飲むのも、病院に行くのも生命維持=延命のため。骨折を治すために病院に行くのも、場合によっては延命治療と言えるかもしれません。その中で患者さん本人が希望するものは必要な治療で、本人が拒否するものは余計な延命治療だと、僕は考えています。

ただ、回復が見込めない状態になったとき、本人が嫌だと言っても、家族が「やってほしい」と望んで治療が施されることがほとんどです。すでに意識がなかったり、認知症で判断ができない状態になっていれば、家族の意向が優先されるのは言うまでもないでしょう。

30万人以上が受けている治療

腎臓の働きが悪くなり、血液中の老廃物が排泄できなくなった人に施される人工透析も、延命治療です。人工透析は、人工的に血液をろ過して、血液中に溜まった老廃物や余分な水分を取り除き、浄化された血液を体内に戻します。腎臓がダメになったら生きてはいけないので生きるためには必要な治療であり、週に3回、4時間ほどかけて行います。全国で30万人以上の慢性患者がこの治療を受けています(2024年の統計)。

この治療をやらないと意識障害を起こしたり、肺に水が溜まって呼吸困難になり、そう遠くない時期に生命の危機に瀕することを医者に説明されると、ギリギリまで拒絶していた人も最終的には受け入れるケースが多い。少しでも生き続けたい人や、患者さんを死なせたくない家族にとってはこれも大切な医療です。