酷暑の中、熱中症で亡くなる人は…
7月から各地で猛暑が続き、熱中症のニュースが連日流れています。「80代の女性が熱中症の疑いで自宅から救急搬送された。そのときエアコンは作動していなかった」などと、報道されます。お年寄りにはクーラーの冷風が苦手だという人も多いので、離れて暮らすお子さんたちは、実家でお父さんやお母さんがちゃんとエアコンのスイッチを入れているか、「熱中症になっていないかな」と心配になるでしょう。
しかし、「熱中症」というのは、本当に暑さ自体が原因でなるものでしょうか。住み慣れた家の室内にいるのに体温調節や水分補給ができないというのは、それだけ判断能力が落ちているということ。つまり、高齢になって、のどが渇いていることや、体感温度がわからない。そして、水を飲もうとするとかエアコンをつけるという対策ができないのなら、もはや認知症に近いわけです。
暑さ対策ができないのは認知の衰え
認知症について、僕はこう考えています。人間は歳をとると、ある日突然、認知症になるわけではなく、ほかの臓器と同じように、徐々に脳の機能は低下していきます。体のさまざまな臓器の中で、脳が先行して老化していくのが認知症で、多くの人は短期記憶から弱り始めます。
その後、長い時間をかけてゆっくりと老化が進み、そのうち着替え方も、トイレの仕方も、家族の顔もわからなくなって、誰が見てもわかる認知症になっていきます。料理の仕方も忘れますから、自分で食事を用意することもできなくなります。
自分で食事も用意できない
野生の動物は、自分で狩りをして食べ、獲物がとれなくなって敵から逃げられなくなったら死んでいきます。動物は本来、自分でごはんが用意できなくなったら死ぬ時。認知症の人は自分でごはんが用意できなくなるけれど、その家族は死んでほしくないからごはんを食べさせ、施設に入れたりします。そして、胃ろうになっても、心臓マッサージをしても「生きている」と言います。
極端な話、他の病気にならずに生き続けていれば、いつかは認知症になるのですが、元気な時と、認知症になるまでには年単位の時間がかかるわけで、熱中症になるのはその“間”の状態といえるかもしれません。


