熱中症は一種の「延命治療」?

僕は「患者さん本人の好きなようにするのが一番」という考え方なので、僕の診療所には基本、認知症の人は来ない。来るのは、「延命治療はしたくない」という本人の明確な意思がある人です。ときどき認知症の人もいますが、それは認知症になる前から診ていて、家族が本人の意思を尊重するとわかっている場合だけ。だから、僕の患者さんやその家族からは「熱中症で困った」という話も聞きません。

救急車の中のシニア患者
写真=iStock.com/SetsukoN
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現代の医療が作り出した認知症

認知症の人も、最初から本人の好きなようにしていたら、認知症が完成する前に死を迎えるのではないでしょうか。というのも、認知症は怖い病気ではなく、医療によって“つくられた”、一人では生きていけない状態だとも思うからです。

現代医療は、病気を治して治して老化をごまかし、とうとう治せない「認知症という状態」まで生きられるように発展してきました。けれども、ケースによっては、そこに至るまでのどこかの段階で、つらい治療や通院を選ばないことができていたら、より自然な形で逝けたかもしれないなぁと思うのです。