“迷宮”のコンセプトが“迷路”に
開くことのないシャッター。むき出しのまま、ガランとした空き区画。撤退したテナントに散乱する備品。買い物や食事を楽しむ人が少なく、ショッピングモールとしての賑わいが感じられない。
新幹線も停車する新神戸駅にそんな廃墟モールが存在する。「コトノハコ神戸」だ。
コトノハコ神戸の前身「新神戸OPA」は、1988年の開業時には192店の専門店を擁する西日本でも有数の大型ショッピングセンターだった(「繊研新聞」2019年4月2日付)。それが現在では稼働しているのは6フロアのうち4フロアだけで、テナント数も27軒(2026年6月時点)にまで減っている。開業から37年で、テナントの約8割が消えた計算だ。
なぜコトノハコ神戸は廃墟化してしまったのだろうか。その理由は大きく分けて4つの要因にある。
1つ目の要因は、巨大な迷路のような構造で、自分がどこを歩いており、目的の店舗がどこにあるのかわかりにくいことである。
コトノハコ神戸は地下3階〜地上37階の建物のうち、地下3階〜地上3階を占めている。各フロアは大きな通路に店舗が面しているのではなく、通路の形が複雑だ。なおかつ西館と東館をデッキで行き来しなければならないため、どこにどの店舗があるのかわかりにくい。
外から見ると複数のデッキや大きな階段が織りなす形が楽しそうな印象を与えるが、実際に館内を歩くとストレスを感じる。深く考えずブラブラと歩いてショッピングしたいところを、フロアガイドを探して、歩いて、また迷って……となるようなモールは敬遠されるものだ。
コトノハコ神戸は新神戸オリエンタルパークアベニュー・OPA(以下、OPAと表記)としてオープンしたモールで、開業当初からこのような構造であった。OPAは複雑な構造を逆手に取って、「ラビリンス(迷宮)&ネバーシース(とまらない)」をコンセプトとしていた。
しかしオープン1年後には日本ショッピングセンター協会が、「ラビリンス(迷宮)になっているため、ほんの一部であるが、お客の寄りつかないスペースが出来てしまった」と課題を指摘している。(『ショッピングセンター』1989年11月)
今となっては、地上1階はほとんどが空き区画で一面が白い仮囲いになっているため、迷路感が余計に増している。



