茨城県土浦市にある「新治ショッピングセンターさん・あぴお」は、1993年に開業した大型商業施設だ。かつて40店舗ほどが入っていたが、現在は4店舗のみ。館内のいたるところが立ち入り禁止になっている。なぜこの施設は衰退してしまったのか。ライターの坪川うたさんが現地からリポートする――。(前編/全2回)

店舗が激減、館内の至るところが立ち入り禁止

開くことのないシャッター。むき出しのまま、ガランとした空き区画。撤退したテナントに散乱する備品。買い物や食事を楽しむ人が少なく、ショッピングモールとしての賑わいが感じられない。

そんな「廃墟モール」が茨城県の土浦駅から車で約20分の場所にある。新治ショッピングセンターさん・あぴお(以下、さん・あぴお)だ。ここは2006年に土浦市と合併されるまで「新治村」と呼ばれていた。施設名に「新治」が入っているのはそのためだ。

旧新治村にあるさん・あぴお。駅のない鉄道空白地帯に立地している
筆者撮影
旧新治村にあるさん・あぴお。駅のない鉄道空白地帯に立地している

駐車場に大きな穴が開き、白線はほとんど消え、外壁にヒビが入っている。修繕する余裕のない様子がうかがえる。

屋上駐車場は立ち入り禁止になっており、館内への出入り口は6つ中3つが閉鎖されている。館内も至る箇所が柵で閉鎖され、半分ほどが立ち入り禁止の状態だ。柵の向こうにショッピングモールらしい吹き抜けをのぞくことができ、かつての繁栄を感じさせる。だが、もう立ち入ることはできない。

屋上駐車場は立ち入り禁止に
筆者撮影
屋上駐車場は立ち入り禁止に。パイロンはボロボロになり、ポールは折れたまま地面に転がっている。画面中央には、どこからか飛んできたのか破損したバケツが放置されている

当初は約40店舗あったが、現在営業しているのはスーパーのエコス、ウエルシア、ダイソー、洋服リフォームの銀の糸の4店舗のみ。加えて、デイサービスが入っている。

2026年1月現在、さん・あぴおで営業しているのは写真に閉鎖された入口に掲示してあるポスターの4店舗と、デイサービスのみ
筆者撮影
2026年1月現在、さん・あぴおで営業しているのは、閉鎖された入り口に掲示してあるポスターの4店舗と、デイサービスのみ

複数の看板に「食の街 よる9:00まで営業」と書かれているが、飲食店は一つもない。インド料理店やカフェの店名は、消されることなく残ったまま。かつて存在した持ち帰り寿司屋のショーケースも放置されている。

施設内の駐車場にある看板
筆者撮影
施設内の駐車場にある看板。「食の街」は現存せず、歯科、美容室、宝石店なども現在は営業していない

トイレは半分ほどが和式で、いくつかの便器や水洗蛇口が故障しており、壁や床の汚れも目立つ。施設のいたるところで老朽化を感じる。