歩きにくすぎる館内構造

加えて、館内の動線にも問題がある。現在は大部分が立ち入り禁止となっているが、フロアガイドを見ると、通路がいくつも交差し店舗が細切れになっている。通路が多すぎて、自分がどこを歩いているのか、目的の店舗がどこにあるのかわかりにくい。

【図表1】さん・あぴおの館内動線のイメージ図
さん・あぴおの館内動線のイメージ図。定石とは離れた形状で、来店客にとって分かりにくい造りになってしまっている

さん・あぴおができる10年以上前の1981年の時点で、雑誌『商店界』では「メイン通路の他に、複通路をとり、テナントを張りつける」ことは基本を忘れた配置であり、失敗すると指摘されている。「複通路に面したテナントは、将来あまり成績が上がることは考えられない」のである。(『商店界』通巻769号 P.152)

古いショッピングセンターではさん・あぴおと同じような形が多々採用されていたものの、現在ではショッピングセンターの館内動線は「2核1モール」と「サーキットモール」が定石となっている。

「2核1モール」とは、施設の両端に集客力のある大型テナントを配置し、その間のメイン通路に専門店を並べる形式である。イオンモールではこのパターンが多い。

【図表2】2核1モールのイメージ図
2核1モールのイメージ図。施設の両端に人気の施設を配置し、その間をつなぐ通路に専門店を配置する形式(出所=イオンモール土浦公式サイトより)

「サーキットモール」とは文字通り、メイン通路をぐるっと1周させ、その周りに店舗を配置する造りだ。

【図表3】サーキットモールのイメージ
サーキットモールのイメージ。中心にテナントをまとめ、壁側に並べるようにテナントを配置し、円周型の通路を作ることで分かりやすい動線を作っている(出所=ららテラス HARUMI FLAG公式サイトより)

このようにショッピングセンターの動線は来店客がわかりやすいこと、館内を回遊することが重要だが、さん・あぴおは基本を欠き、来店客にとってわかりにくい造りになっているのである。

“村”の商圏人口の少なさ

さん・あぴおが衰退してしまった要因として、「商圏人口の少なさ」も大きいと考えられる。

周辺に大きなマンションやアパートはなく、戸建てがぽつぽつと建っている。土浦北インターが近く、工場や物流センターが並んでおり、住宅街というより工業の街という印象だ。「さん・あぴお」内のスーパーエコスでも平日の昼時には、カップ麺など昼食を買い求める作業員の姿が見られた。

さん・あぴおがオープンした当時の新治村の人口は約9500人。ショッピングセンターが立地する人口としては非常に少ない。2006年に合併して土浦市になったが、新治地区の人口は減少を続け、2025年10月1日時点で約7600人となっている。(土浦市「土浦市地区別及び年齢別人口」)

実際に街を歩いてみると、商圏がさらに縮小していることを感じた。さん・あぴお付近の国道125号(旧道)沿いで、レストランやマッサージ店など複数の商店が閉業していたのである。

ゴルフの打ちっぱなしも2025年5月で閉場しており、トヨタ自動車の販売店も2026年1月末で閉店すると掲示されていた。